表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霧の中に悪魔がいる  作者: full moon
1/89

虚無の独奏

 ギターを弾いている。


ひとつひとつ手元を見ながらコードを押さえる。


おぼつかない手先は時々、淀んだ音を響かせる。


この音を聴いた霧の中の悪魔は、集まるだろう。


そして、私は悪魔に殺される。


それでいい。


もう終わりにしよう。


疲れたんだ。


 私は、荒れ果てたレストランの中にいる。


フローリングの床は割れ、足の折れた椅子はいくつも倒れている。


床に散乱した食器、割れた破片は鋭利にきらきらと瞬いている。


窓から白い朝日がおぼろげに、薄暗い店内を照らす。


窓枠はガムテープで密閉され、窓には無数の血しぶきが付いている。


窓の外は、深い深い濃霧が広がり、白い光景以外に何が起きているのかわからない。


店内には壁に寄りかかり目を開けない者。


床に倒れている息をしていない者。


血を吐いている死んだ者。


妻も娘もいたが、私だけが残ってしまった。


私は、店内の中央にある欠けた噴水のモニュメントに腰をかけて、ギターを弾いている。


噴水の水は途絶えている。


受け皿は割れ、溜まっていた水が床を濡らしている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ