第7話 続ペット宣言
タイトル詐欺にならないようにしたら、展開が大分強引になっちゃった、(∀`*ゞ)テヘッ
許してください何でもしますから・・・
下腹部に硬いナニかが当たるのを感じる。怖い、でも耐えないと。実の両親から捨てられたオレが頼れるのは、もう陽彩しかいない。だから捨てられないように頑張らないと。
「……止めてくれ」
陽彩が腕で顔を覆い、絞り出すように、何かに耐えるようにそう言った。でも体は口ほどにモノを言う。どうして拒絶の言葉を口にしたのか分からないけど、生理的な反応を起こしているのは明白だ。
「ご主人様、わたしをめちゃくちゃにして♡」
耳元で囁き、息を吹きかけた。
「やめろ」
そのまま耳を甘噛みする。
「止めろ」
「えへへ、我慢しなくていいんだよ」
そして顔をだんだんと下の方へと持っていき、再びキスを――
「止めろって言ってんだろッ!!」
突然陽彩が上体を起こし、顔を近づけていたオレに頭突きをかました。その激痛に堪らず額を押さえて悶絶する。相当な勢いでぶつかり合ったせいか、額から一筋の血が流れ落ちた。
陽彩は立ち上がり、馬乗りになっていたオレは陽彩の上から転がり落ちた。カチッという音と共にLED電球の橙色の温かな光が灯された。
「……すまん」
立ち上がる際に床に落ちたタオルケットをオレの肩から掛けると、救急箱を取り出して額の傷の手当を開始した。
オレは失敗したのだと悟った。日中にあれほど頑張って考えて、陽彩の好みのシチュエーションも作り出して、それなのに失敗してしまった。もう、どうしようもない。
「どうしてこんなことをしたんだ?」
陽彩の声色に咎めるようなニュアンスは感じられない。それどころかこちらの身を案じているような、穏やかな声質だった。
ここから持ち直すこともできないから、もう話してしまってもいいか。失敗してしまった以上、もう隠しても意味がない。
「……捨てられるから」
「……は? 待て待て待て、どうしてそうなった?!」
包み隠さず全てを話した。
オレがもしかしたら『星宮宙』ではないかもしれないこと。肉体が変化してしまった不安。母親の言葉。
一度漏れ始めた弱音は堰を切ったように、濁流となって陽彩へと流れていった。これを陽彩は話し終わるまで、ただただ黙って聞いていた。
「俺はお前がどんな姿になろうと宙だって信じるよ。お前の母親が否定しようと、世界中の人たちが否定しようと、俺はお前のことを信じる。だってお前は星宮宙、なんだろ?」
陽彩は言いづらそうに顔を背け、頬をかきながら続けた。
「それに……今のお前は、可愛いぞ」
顔が熱くなる。以前なら嫌で嫌でたまらなかった言葉のはずなのに、どうしてか嬉しく感じてしまう。
「かわいいって、言うな」
辛うじて絞り出した言葉は、主観的にも嫌がっているように聞こえなかった。赤くなった顔を見られたくなくて、ついつい背けてしまう。
二人の間に無言の時間が流れる。流石に気まずくなったのか、陽彩が口を開いた。
「それにしてももっと他の方法はなかったのか? 手料理をふるまうとかさ」
「はあ? 手料理なんて無理だろ。そもそも食材が冷蔵庫にないんだから」
「あ、あはは……そうだった」
1つ大きなため息を吐き、真剣な顔に切り替えた。
「とにかく色仕掛けだけはやめてくれ。俺の身が持たないし……もうお前が泣いていることろを見たくないんだ」
頬が紅潮する。この天然の女たらしめ。その顔をしてこのセリフは、どんな堅物な女子でも落とせるほどの威力を秘めている。しかもこいつは無意識に誰にでもやっているから、中学のときとか大変だったんだからな。陽彩に惚れた女子がオレを女と間違えて、嫌がらせしてきたり……。
「うん、わかった」
「そうかそうか。これで俺の心の平穏が保たれるよ」
「陽彩のペットになる」
「どうしてそうなった!?」
陽彩はかなりモテる。だからきっと彼女とかができたときにオレはかなり邪魔になるだろう。彼女さんも彼氏が見知らぬ女と同居しているなんて耐えられないだろうし。だからペットになる。ペットなら彼女さんも許してくれるだろうし、陽彩も邪魔とは感じないだろう。
それに、ほら……。ペットなら飼い主に甘えても許されるだろうし、そもそも前言を覆すということは男らしくない。
「男に二言はないんだよ」
「今は女だろ!」
「心は男だ!!」
陽彩はまだ何か言いたそうだったが、そろそろ眠気が限界に到達しつつある。今日1日ずっと気を張っていたせいで、かなり精神的な疲れがある。これ以上抗えそうにない。
だから1人でうなっている陽彩を放置して、オレはさっさとベッドにもぐりこんだ。
「おやすみ」
こうしてオレは半ば強引に陽彩のペットになった。
――この日、人知れず流れ星が地上に降り注いだ。
タイトルだけで小説を作るもんじゃないですね
あ、そうだ。現時点の関係で見てみたいイベントとかってありますか? 独断と偏見で採用させてもらうかもしれないです!
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