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    ―あの人の思い出






商店街と呼べる場所に出て、ココアは小さく伸びをした

彼女の羽が揺れる



「れな、どうする何する?」



そういわれても困ってしまう

何をする、といわれても私は勝手についてきただけなのだ

どうしてそうなってしまう



「貴女はどうなのよ。私は何でもいいわ。どうせ暇なのだし」

「え、そうなの? えへ、じゃあカフェ入りたいの、いい、かな?」



遠慮がちに投げかけたココアに思わず溜息がこぼれた

結局行きたいところがあるのだったら言えばいいのに

そんなに言いづらいだろうか?







所謂お洒落なカフェに入り、腰を下ろす

椅子に引かれた座布団が気持ちよい



「れな、れな! 何食べる? ココアおごる」

「そうね、パフェある?」

「パフェ、ああ、チョコパフェのこと?」

「そう、あるかしら。あるならそれを」



暫くメニューと睨めっこしていたココアが手を上げて店員を呼ぶ。

店員は私がいた世界とは違う笑顔でココアに接し、注文をとる。


うまく表現は出来ないのだが、

温もりのある笑顔、というのがいいのだろう



「ねえ、れな。あのおうちに一人で住むんだよね、怖くない?」

「怖いわよ」

「じゃあ、どうして住むの? 怖いのに」



どうして、と聞かれても困ってしまう

確かに私は自分の家に帰りたい、第一ここがどこだかはわからない。

でも私は帰れないのだし仕方なくあの家に住まわせてもらうのだ


レイの言っていたことが脳裏をよぎる







――貴女様がここに来るのは必然の運命







必然の運命。

分からない、どうして。どうしたらこうなってしまったのだろう



「れな? パフェ、来たよ。とけちゃう」

「…ごめんなさい」



パフェをつついて、ココアを見つめる

相変わらず幼い表情でホットケーキを見つめている


彼女も、私と同じで必然の運命で来る予定だったのか



……いや、やめよう

いつからこんなロマンチストになったのだろう

久々に雛霧に会ったからか?

だから、感化されてしまったのだろうか


私はこんなに人に感化される人だったっけかな





「……それにしても」

「うんっ?」

「凄いわね、チョコレイトの量」



アイスを包む程度でいいのに、有り余るほどかけられている

こんなものを毎日食べたら確実に一ヶ月で体型が変化してしまう、悪い意味で



「でも美味しいよ?」

「わかってるわよ」



いつの間にか、パフェを一緒に食べていたココアは笑って頬に手を置いて、笑みを浮かべていた

私もいつかこういう風に笑えるようになるのだろうか





















「ごちそうさま、美味しかったわ。代金は立て替えておいて。いつか払うわ」

「そんなっ、いいよ。私も食べたもん」



宙を舞うように歩きながらココアは嬉しそうに空に放った




その刹那。

目の前が見えなくなる。


今まで昼だったのに、夜になっていた

目が慣れなくてちかちかとしている




「れなー、夜だー。送っていくね」




そういって、遠くで手招きするココアのところまで走る。

ああわかった



心の隅で感じていた、ココアの懐かしさは雛霧だ

ココアは雛霧に似ている







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