第二章:居場所の意味
外見からすると、小さく見えるのに案外なかは広かったりする。
うーん。
見かけによらないってこういうことなのか。
一通り、その与えられた家を拝見し終わり、やることも終わった。せめて、小説とかおいてあったらいいのに。
何か……いらんスポーツ用品とかあるのにどうしてそういう気遣いがないのかな?
まあ、常識を求めても仕方ないか。
外へ、出るか。
凄く怖いけれど内心は。だけどここに引きこもっても仕方ないし。
私がいた元の世界へ帰れるドアとかあるかもしれないし。いや、そんなのないことくらいわかってるのだけれど。
どうしても信じてしまう。
「うっわ、城デカっ!」
家を出て、住宅街らしきところを抜けて出たら一面原っぱ。
そしてその続き先には先ほど見た城。
いったいあんなデカい城に何人住んでるのだろうか? 私が考えても多分答えにはたどり着かないけど。
何気なく空を見上げてみる。
私が住んでいたところとは違って、空が遠く蒼い。空気も綺麗だし……。
だけど田舎、じゃない。
風が吹いて草が揺れる。
それが気持ちよくて、私は思わず腰を下ろした。
風はまだ止まない。異国へ迷い込んだ私までも歓迎されてる気がして悪い気にはならなかった。
「一人なの?」
そんな可愛げの声がして、私は振り返る。
にこやかに笑ってるミニマム少女。見たことあるような気がしたけど気のせい。
本当に小さい、桃色の髪の毛をした少女。同い年くらい? 幼く見えるのはきっと気のせい。
「誰よ、貴女。……ここの人?」
「そーだよ、私はここの住人さんってのなんだ! 私のことはココアって呼んでくれたら嬉しいな!」
……この国はあれなのか? 外国式なのか!? 誰か日本名いないのか!?
「私は、山梨れな。こことは違う世界からきたの。信じられないでしょう?」
「あはっ、全然信じられるよ、れなちゃん」
「信じられるなんて貴女は凄いわね」
「凄い……んじゃないよ! 普通なんだよ? えへへ」
「ココア、っていったわね? 暇ならここの案内頼んでいい?」
「もっちのろん! ちょうど暇だったんだよね〜」
よかった。
何とかいい奴に出会った。これでいろんな秘密とか知れればいい……そして戻るんだ。
「ねーねー、れーなー」
「何よ」
「れなのいた世界ってどんなとこ?」
「んー……。空気が汚くて、人がみんな冷たいところ。んでもって人口が都心に行くほど増えてく」
「人、冷たいの?」
そう深くつっこまれるとは思わなかった。
私はあまりここのこと知らないから間違ったことはいえない。
だけどココアみたいに、初対面でここまで優しくしてくれたってことは、ここはみんな優しいと錯覚してしまう。
ただでさえ私のいたところは冷たかった。
そう考えるとここにいるのも悪くないのかもしれないな――――