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    ―一瞬の孤独






――――れなちゃん! 見てみて新しい小説作ったの! 読んで読んで〜

……よく作る気になれるわね。

――――だってれなちゃんが読んでくれるから作る気になれるんだよ! れなちゃんのおかげだって〜

私がいなかったら誰に読んでもらうつもりよ?



そういうと、雛霧は顔を伏せた。

そして、しばらくして見てるほうまで悲しくなるような笑顔を向けて、


――――作って破いて捨てちゃう、かな?











「こ、ここ!?」

「ええ、気に入りました?」



レイに案内されたのは、賑やかな住宅街的なものが並ぶところ。

そこにある一軒を指差されて、どうでしょうかと意見を促される。


「気に入ったというか……」

「他にもあるんですが……どうします?」


どうします?

といわれても。私は自分の家がいい。ああ、何か無性に愛着がわいてきたよ自分の家に。

目の前にある家は確かに私の家よりは綺麗だ。新築だな、見た感じですぐにわかる。

まあ、少々小さいが。


「よし、ここでいいですね! 貴女様にぴったいですわ」


えええ。

どこがぴったりなのか。大体、中学生がここに住めと? 一人で? 無理があるだろ。うん、ありすぎる。




そんなことを考えてるとぐいぐいと背中を押される、凄い強い力で。

まさか、とは思ったけど振り返るとレイがいる。いや当たり前だが。レイにここまでの力があるとは。



「れ、レレレイ! やめてよ、何すんのよ! 訴えるわよ!?」

「ふふ、どこへ訴えるのですか? 貴女様のいたところにある『警察』はここにありませんけど……」


こ、このやろー!!

ふざけるな、どこへ訴えればいいんだ。


そんなことをしているうちに私は、中にいた、家の。

香水、じゃないけどいいにおいがする。何だ? このにおい。

それより、家具がある。凄いな、意外に。まるで人が住んでいたみたいに…


「そんなことありませんよ。貴女様が来ることを想定して家具を配置しましたの。ふふ、気に入りましたか?」

「え、私がここへ来るのは必然だったの? そういう運命だったの?」



私がその言葉を言い終わって、気づく。

何であんなすんなりと、『運命』とか『必然』とか……。出てきたんだろう?



「ええ、必然です。貴女様がここへ来るのは必然の運命なんです。病院にいって寝るのは絶対なる必然。

 けれど、運命はここまででこれから先、この国でどのように生活するのは運命に縛られてませんわ」



よくわからなかった。

だけど、わかったのはここにくるのは私が言った通り、必然だってこと。



必然、か。




「じゃあこの家はれなさんの家なのでご自由にどうぞ」

「え、ちょ待ってよ!! レイ、レイ? レイ!? おい、待てえええええっ」




レイはにこやかにお辞儀をした後、出て行った。

……私はこの国に一人きりだということかしら?

最悪だ。何でいきなり一人にさせられなくちゃいけないのよ。全く。





ため息をつき、家の中を物色することにした。




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