序章:夢の中の記憶
れなちゃん、夢はね、創造するんだよ?
――――ばか、夢なんて見てもあんたの言うように創造したって所詮は『夢』でしかないの。わかんないの?
違うよ! 夢は自分で生み出せるの、そう考えなきゃ面白くないでしょう?
――――別に面白さなんていらない。あんたが夢見すぎなのよ。いい加減現実見れば?この点数、何よ
わわわっ、私の算数のテスト! 返してええっ。
ピピピピ....
目覚ましの音で私は夢が覚めた。
そっくりそのまま、過去を映し出した私の夢。
過去なんて見ないわ、なんて周りにいっておきながら結局時々こういう夢を見て追い詰められる。
追い詰められる、なんて表現は悪いかもしれないけど。
語彙力がないから仕方がない
と終止符を打ち現実を見ようとする。
リアリズム、らしい私は。
七川雛霧がいうならば。
七川雛霧、私によく付きまとってきた小学校の頃の友人。
夢見がちで、よく自作の小説を私に聞かせては嬉しそうに語ってた。
今は、彼女もいなくなった。
中学生二年の夏。いつものように暇を満喫するためにテレビをつけてニュースを見ていたとき突然そのニュースは流れた。
『七川雛霧さん(14)が昨晩、一通の手紙を残したまま行方がわからなくなっております。』
そんな内容だった気がする。もう曖昧になってしまったけれど。
当時は、友人がテレビで流れていたことが新鮮でついニュースに釘付けになった。
今からよくよく考えればなぜ、女子中学生の行方が眩まされただけでニュースに取り上げられたんだろう?
しかも、一通の手紙、だ。
遺書、とは一言も言っていないのに。
手紙の内容なんてテレビじゃ放映されなかった。
もちろんプライヴァシーのことで、だと思うけれど。
彼女の母親は、ハンカチ片手に泣き泣きインタビューに応じていた。
そんな、中学生。
反抗期なんだから、家出かもしれないじゃない。
テレビにそう叫んだけど無論届かない。
わからない。
私は大人の思考回路が。
「れなー? 貴女何してるの? 朝ご飯、早く食べなさい!」
「今行くから片付けないでよね!」
下で母親が怒鳴っていた。
そんな声のおかげで私の意識は完全に現実世界へ引き戻された。
新しく連載始めました!
最後までお読みいただき、有難うございます。