閑話 憎めない助手
何か月もすっぽかしていて申し訳なかったですm(__)m
またぼちぼち始めていきます。
ティーカップを空にして、楓は応接室へと向かった。あまり気が乗らないのはいつものことだ。
「まぁ…退屈しのぎにはちょうどいいわ…」
そんなことを呟いていると、後ろから声がかかる。
「退屈しのぎにしては、大きい仕事ばっかりだよね」
ふいに後ろから声が聞こえてきた。声の主はもちろん…
「…盗み聞きをしてほしいなんて頼んではないのだけど。客人の相手はどうしたのかしら?」
予想通り、そこには紫苑が立っていた。どうやら、トレイの上に飲み物が4つあるので、客人と自分たちの飲み物を持ってきたらしい。
「見ての通りさ。お客さんの分と姫の分と僕の分の飲み物だよ」
相変わらず優しい笑顔で説明をする。楓でも、表情を変えたところを見たのは3回だけだ。
「…私はウィスキーがいいわ」
「さすがにお客さんの前だからお酒は控えないと」
「あなたは私の保護者かしら…しょうがないから諦めるわ。私には何を入れてくれたのかしら?」
「紅茶だよ。ダージリンのファーストフラッシュをこの間手に入れたからね」
楓は紅茶も好きだ。
「セカンドフラッシュ…もう夏なのね」
「ふふっ、姫は普段表に出ないからわからないんだよ」
少し意地の悪い言い方で紫苑がからかう。反論したい気持ちでいっぱいだが、事実なのでしょうがない。「そうかしら」と話を逸らすことで精一杯だ。
「おっと、お客さんを待たせて話し込むのも悪いから、僕は先に行ってるよ」
ふと気づいたように紫苑がそう言い、応接室へと向かっていった。
「私もそろそろ行こうかしら」
そう呟く彼女の気持ちは、紫苑と話す前よりも幾分か楽になっていた。