♪☆森へ
久々に曲と挿絵を入れました!
おまけの曲についてはあとがきのTwitterにて公開しております!
ガラン王国は北西。精霊の森は北東に位置し、少し遠回りにはなりますが仕方がありません。
ミッドガルフ貿易国からタプル村へ向かう途中、ガラン王国が間にあるため、最初にガラン王国に行けば良かったかなと思いつつ首を横に振り目の前の『精霊の森』を見つめました。
「昔と変わりませんね」
ゴルドが呟きながら前へ進みました。
「へえ、空気がとても綺麗という感じかしら。木々の音が心地良いわね」
「……空気は味が無い。でもここは何か違う。空気が美味しい」
パクパクと口を動かすマオを見て微笑むシャムロエ。マーシャおばちゃんの一件で少し落ち込んでいたので、今目の前の光景を見て少し僕も微笑みました。
「……トスカ、やっと笑った」
「へ?」
「そうね。大好きなおばあちゃんが亡くなったら悲しいもの」
「あ、すみません。気を遣わせてしまって」
「良いのよ。ずっと旅をした仲だからね」
「あはは。でしたら何かお礼をしたいですね」
そう言うとマオがピッと手を挙げました。
「……しばらくトスカの演奏を聴いていない。パムレット不足のマオを満足させる楽しい演奏を所望」
なんと。パムレットを補う演奏って、世界の魔獣を封印するよりも難しい問題だと思うのですが!
「……世界を救う楽しい演奏。凄く期待」
「期待しないでください。ですが、そうですね。ちょっと楽しげな雰囲気な演奏をしてみますか」
そう言ってクラリネットを出しました。
マーシャおばちゃんから受け継いだクラリネット。気がつけば僕がずっと持っていることに今さらながら不思議な気持ちが出てきました。
このクラリネットは絶対に大切にしよう。
そう思いながら、目の前で笑っている三人に向けて、少し楽しげな演奏を行いました。
♪
反響するクラリネットの音。
それにあわせて足も軽く、どんどん前へと進んでいきました。
そんな中、一部反響する音に違和感が出ました。
「ん? どうしたの?」
演奏を止めるとシャムロエは質問をしました。
「誰か……いえ、囲まれていますね」
僕の言葉に三人が構えました。
「『認識阻害』はさすがにボクも気がつかないですから、助かりました」
「にんしき……? ということは」
ぎぎぎと何かが引っ張られる音。きっとその音はボクにしか『見えない』のでしょう。
「そこで弓を使っている人、僕達は怪しい者ではありませんよ!」
「なっ!」
シュン。と、弓の弦が縮む音。きっと驚いて僕達を見ているのでしょう。
「さすがトスカです。後はボクに任せてください」
そう言ってゴルドが一歩前へ出ました。
「ボクは鉱石精霊のゴルドです。ここには千年ほど前に来たことがあります。長寿のエルフならボクのことを知っている者はいませんか?」
その声が響き、周囲は静まりました。
霧が晴れるようにエルフ達は姿を現します。
その中から一人、少し年老いたエルフが現れました。
「ゴルド殿。久しいな」
「エヴァですね。年老いても整った顔立ちでわかりましたよ」
「ははは、本当に久しい。会えてうれしいよ」
エヴァと呼ばれたエルフが笑うと周囲のエルフは武器を背中にかかげ、一カ所にまとまりました。
「初めまして人間の方々。私はこのエルフの集落の長エヴァです」
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