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♪野外演奏会

 今回はマオも最初から演奏に参加します。音源はあとがきにてTwitterのURLからお越しください!

 城下町には商業区と住宅区と行政区があり、宿屋は商業区の中にあります。

 商業区は店がずらーっと並んでいますが、突き当たりには大きな噴水がありました。

 そこは待ち合わせや催し物を行うのに一番適しており、何より一番目立つ場所でした。


「本当にやるのですか?」

「……もちろん」


 マオが目をキラキラと輝かせています。その小さな両手には昨日の料理の食べれない部分である貝の殻を二つ持っていました。

 これら二つをぶつけ合うと、手を叩いた音よりも心地よい音色が出るのですよね。


「私はこれなのね」

「一番力持ちなので」

「女の子にそれを言うのってどうなの!」


 シャムロエにはフーリエの店にあった切り株の椅子を持ってきて、それを棒で叩く役です。

 椅子の中が良い感じに腐食しているせいか、なかなか味わい深い音が期待できます。


「なんだなんだ?」

「あの子可愛いー。貝殻持ってるわよ?」

「お、珍しいな」


 人が集まってきました。ここからは僕の出番ですね。


「えー、突然ですがこの場で演奏を行います。曲名は決まっていませんが「眠れる森の腰痛治療」……曲名は決まっていませんが! もし気に入っていただければこの箱の中に『お気持ち』をいただければと思います!」


 マオが途中で何か言った気がしますが、ここは触れずに進みましょう。

 僕は『クラリネット』を構えて合図を出しました。一度きりの練習ですが、まあ上手にいくでしょう。

 だって、例え変な音が混じったとしても僕がなんとかすれば良いだけです!


 ♪


 僕の奏でる音には少し細工をしていました。一つの楽器から二つ以上は本来出せません。しかし、僕にはそれが可能です。

 時々楽器を少し揺らし、音域を二つ以上聴こえるように吹き、少しだけ壮大にしました。


「へえ、音が出る楽器は一つなのに、まるで二つ聞こえたな」

「あの子がとても楽しそうなのが良いわね! 『お気持ち』あげちゃう!」

「なかなか奥深い音も聞こえたな。俺も!」


 そう言って見てくれた方々がお気持ちという名のお金を箱の中に入れてくれました。銅貨が殆どですが、時々銀貨も入っています。

 お金使いを考えると、僕の村とは全く異なるのでしょうか。少なくても『腰痛治療』に銀貨はもらったことはありませんね。


「これでしばらくは安定ね。どうする? もう一度演奏する?」

「そうですね。お金は受け取らずもう一回演奏をしましょうか」


 そう言った瞬間でした。



「この騒ぎは何だ!」



 少し離れた場所から鎧を着た兵士達がゾロゾロと歩いてきました。中から一番偉そうなヒゲの生えた兵士が声を大きく叫びます。


「どけ、この騒ぎは何だ!」

「きゃっ!」

「……乱暴」


 住民を手でなぎ払い転ばせています。これは見ていてあまり良い物ではありませんね。


「おい、そこの小僧。この騒ぎの原因はお前達か?」

「は、はい。ここで演奏を行っていました」

「許可は取ったか?」

「……許可が必要なのですか?」


 見たところこの広場では皆自由に遊んだりしています。それに毎回許可が必要なのでしょうか?


「物による。だが……君たちは『稼ぎすぎている』」

「……どういうことでしょう?」

「ゼイキンを払って貰おう。今日の収入の八割だ」

「は、八! それって殆どじゃ」


 ヒゲの兵士が僕に耳打ちをしました。


「無許可を見逃してるんだ。わかるか? へへ」


 ヒゲの兵士に若干イラッとしつつ、今日の取り分の八割を渡しました。問題は避けたいです。それに……。


「へへ、毎度。ほら、民もこんなことに時間を使わず、働くんだな」


 その一言で、先ほどまで和やかな空気が一瞬で冷めてしまいました。


「何よあれ。気分が悪いわね」

「そうですね。でも収穫はありました」

「収穫?」


 そう。僕の能力は音が見える。その能力はこの大陸でも殆ど知られていません。

 そして、シャムロエの心臓の音がしなかった事を見抜いたのも、僕がいなければしばらく気がつかなかったでしょう。


「あの偉そうなヒゲの兵士からは、心臓の音が聞こえませんでした。これはきっと何かがありますよ」

 今回の劇中曲は以下のurl(Twitter)となります。

 https://twitter.com/kanpaneito/status/1108096867714293760

 トスカと愉快な仲間達による『眠れる森の腰痛治療』、少しでも雰囲気が出ていれば幸いです!

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