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ゲイルド魔術国家の女王

 決勝戦。


 勝ち上がった二組が試合会場に登壇すると、会場は一気に盛り上がりました。

 その二組とは……。


『シャムロエ・マオチームと、ゴルド・フーリエチームだ!』

「「「おおおおおおおおおお!」」」


 うん。完全に身内の試合を僕はのんびりと観戦することになっています。

 来賓席にはえらそうな人やその息子や娘のような人物がいて、それぞれ選手の格付けが聞こえて来ました。


(いやー、非常に見ていてかわいそうと言うかなんと言いますか)


 だってどっちが勝っても縁談とかそういう話にはつながらないので、正直軽く手合わせをして終わりにしても良いと思うのですよね。


『……パムレットが待ってる。うっかり手を滑らせて負けないように全力でいく』

『フーリエ! やばいです。全力でいかないとお姉さんの所へ一直線ですよ!』

『わわわ! しゃ、シャムロエ様! マオ様をどうにかできないですか!』

『無理ね。えっと……とりあえず全力でやってみましょう』


 ……いや、まあ、僕があの場にいなくて良かったと心底思いました。


「そうですわね。ゲイルド魔術国家始まって以来の大勝負が始まりそうですわね」


 突如聞こえてきた声に驚き振り向くと、そこには大きな帽子ときれいなドレスに身を包んだ美しい女性が立っていました。


「あ、貴女は?」

「ふふ、静寂の鈴の巫女と魔術研究所のフーリエが居るこの国では女王という地位は薄い存在となりますわね」

「し、失礼しました。初めてお目にかかるもので。ゲイルド女王……様でよろしかったですか?」

「ああ、畏まらないでください。ワタクシもただ試合を見に来た観客に過ぎないのですから」


 そう言って僕の隣に座りました。後ろには怖い兵士が数人いるので、正直凄く落ち着きません!


「改めまして『ゲイルド魔術国家女王』のゲイルドです」

「トスカです。僕に何か御用でしょうか?」

「あの二組に説教をするほどの強者に興味を持たないほうがおかしいと思いませんこと?」


 ああ、二人があまりにも手加減無しに試合をするものだから影で説教をしていたのですが、見られていましたか。


「ふふ、冗談です。ですが、この競技会の裏の事情はご存知でしょう?」


 優勝者は豪華なご飯。しかも各地の偉い人を招いた食事会となると、当然王族もいますね。


「過去にはワタクシの先祖もこの競技会で相手を見つけたと聞いています」

「となると、今回はゲイルド女王の相手をあの中からですか?」


 異性と呼べる人物はゴルドだけですが、そもそも精霊なので無理ですね。


「ふふ、なにも出場者だけがその権利を与えられるなんて決めていません。暗黙のルールがあるだけで、ワタクシの権力があれば『貴方』を食事会に誘うことも容易です」


 徐々に視界が歪み、頭の回転も悪くなってきました。いっそのことこのまま流れで……そうすら感じたそのときでした。



「手段は選んでいられません! 『深海の邪心』!」

「……む、あれはまずい。『リミテッド・ボルド』!」

「危ないです! 『精霊の盾』!」

「皆技名あってずるい! 『強い拳』!」



 ……あー、その。目が覚めました。


「はあ、残念ですわね。あの四人の強さは周囲も巻き込むほどの脅威。この場で貴方を魅了しこの国の繁栄を考えていたのですが」

「どうして僕を?」


 そう言った瞬間、ゲイルド王女は立ち上がりました。


「ミルダ様の持つ鈴と深いかかわりのある貴方なら、ミルダ様を自由にしてあげれると思ったからです。ふふ、ごめんなさい」


 そう言ってその場から立ち去りました。


「一体なんだったんですか」


 腰が抜けて動けませんでした。

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