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潜む影と潜む魔力

 早速フーリエの宿に到着して全員が椅子に座りミルダとの会話を簡単に説明しました。


「魔力の流れですか……そう言われるとそうかもしれませんが……」


 フーリエがお茶を持って僕達に配って椅子に座りました。

 シャムロエがお茶に口をつけて質問をします。


「フーリエは気がつかないの? ここに住んでいるんだし」

「ワタチはこの大陸全部のワタチと記憶や行動を共有しているので、一人が一瞬魔力に異変を感じても『何処のフーリエなのか』はすぐに確認できません。例えるなら数人が一気にワタチに話しかけてくる感じですね」

「と言うことは、何かしら変な魔力は感じていたけど、どこかは分からなかったということね」


 万能なフーリエでもさすがにそれは分からなかったということですか。


「それにしてもそれをミルダが話したという事が不思議ですね」

「どうしてですか?」

「ミルダの持つ『静寂の鈴』は魔力を抑制する音を出します。つまり魔力を感じることが出来ない筈なのに感じたという事が不思議ですね」


 確かに。言われてみればその通りです。


「……心当たりは無くも無い」

「そうなのですか?」

「……マオはミルダと会話が出来た。これが答え」


 え、それって僕が鈴の音をマオから遠ざけたので、関係は無いと思いますが。


「……『受ける』場合と『送る』場合は異なる。ミルダからマオに話しかけた際は魔術で言語を変換して『マオが理解』する。でも逆は違う。『マオが魔術を使って言葉を発している』からマオの予想では『ミルダの鈴の音でマオの声に乗っている魔力は消えて理解できない言語になっている』はず」


 ……え! そうなのですか!


「全く気にしていなかったわね。そういえばミルダはマオの言葉を理解していたわね。でも、なんで?」

「……それはマオの今使っている言語変換が『何にも属さない術』だから」


 ガッとフーリエが立ち上がりました。


「ありえません! そんな、『神術』を超えた魔術をマオ様は使っていたのですか?」

「……マオも分からない。でも真実」

「えっと、ゴルド。今の話を僕にもわかり安く教えてくれませんか?」


 苦笑するゴルド。ですが丁寧に答えてくれました。


「まずマオの使っている言語を変換する術は『まだ誰も見つけていない術』です。それは『原初の魔力』に相当するもので、凄いものなのですよ」

「凄いということはわかりました」


 へーと僕とシャムロエは声を漏らしました。


「実はマオ凄いのね。頭を撫でてあげる」

「……撫でるなら上からゆっくりを希望」


 ……いや、急にほっこり状態にならないでください! 真面目に話しているのですよ!


「ですが、これでミルダが心配している事がわかりました」


 フーリエが考えゆっくり頷きました。


「ミルダは『静寂の鈴』でも抑制できなかった魔力を感じ取ることができたということは、それを使ってミルダの命を狙ってもおかしくありません」

「ちょっと待ってください。『静寂の鈴』って見た限りではそれほど強力な道具にも見えないのですが?」


 そう言うと僕以外皆が息を漏らしました。


「まあトスカは魔力に一番遠いし、仕方が無いわよね」

「……少し魔術の勉強しようか?」

「あはは、まあ仕方が無いよね」

「トスカ様は仕方が無いです」


「何ですかこの仲間はずれな感じは!」


 僕の怒りにゴルドが笑いながら答えてくれました。


「ボク達がミルダに出会った時は鈴を持っていただけでしたよね?」

「はい」

「もしアレを大きく振って大きな音を出した場合、きっとボクは動けなくなります」

「……マオもその場で気絶する」


 それほど強力なんですか?


「しかしその音すら関係無くミルダに伝わる魔力ということは静寂の鈴は意味を持ちません。つまり」



 ミルダにその魔力を持つ人間が近づいたら危険。



「そういうことです」

「また僕の心を読みましたね?」

「あはは、まあその心をさっくりと読まれる様に、ミルダもさっくりと危険な状態なのです」

「だったら警備を増やして万全の耐性を……」


 そう考えた時でした。


「……もしかしてミルダもその『ご飯』とやらに参加するのですか?」


 そう聞くとフーリエはゆっくりと頷きました。


「つまりトスカ、ボク達はその競技会に参加しなければいけなくなりました。二人一組ですし、参加しましょう!」

「無理ですよ! ゴルドは魔術を使えるかも知れませんが、僕は音ですよ!」

「む、魔術では無く『精霊術』と言って欲しいのですが」

「どっちでも良いですよ!」


 今はその細かい部分を口論する時間ではありません!


「じゃあ私はマオと参加するわね」

「……パムレットがマオを呼んでいる」

「何勝手に決めているのですか!」


 キラキラと目を輝かせるマオと、腕をグルグル回すシャムロエ。いやいやミルダの命がかかっているのに何か緊張感無いのですが!


「でしたら良い案があります」


 そこでフーリエが手を挙げました。



「ゴルド様。ワタチと一緒に組みましょう」

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