☆♪巫女が住む教会
今回もトスカが演奏した曲をおまけとしてTwitterにて公開しております。あとがきにてurlを記載しましたので、ぜひお聞きください!
『静寂の鈴の巫女ミルダ』はこの大陸の象徴であり、僕と同じ『人間』だと言われています。
千年前の人間ともなると、千年生きていたフーリエと知り合いなのは当然なのかなとも思えます。
ミルダが住む『神殿』と呼ばれる場所は厳重な警備員がいるものの、入り口でフーリエが頭を下げたら通してくれました。
「ワタチが行けるのはここまでです」
「不自然と言うべきかしら。フーリエとミルダは知り合いなのに出会えないのでしょ?」
「そうですね。ゴルド様が言ってしまいましたが、ワタチが人間だったころにミルダとは知り合いました。それ以上は本人から聞いていただければと思います」
全てはここで話さない。いや、話せないという感じでしょうか。
「わかった。じゃあトスカ、行きましょう」
その前に一言言わせてください。
「なんで皆そんなに平気なんですか! ここ凄く寒いですよ!」
正直今の僕の服装では耐えられない寒さです。マオはローブのおかげなのか平気そうで、ゴルドは寒さを感じないとか。シャムロエはへそまで出しているのに何故平気なのですか!
「……トスカ、これには理由がある」
「どんなですか?」
「……マオ、ちょっと暖かくなる魔術を使ってる」
「ズルいですね! 僕にも使ってくださいよ!」
もしかしてこのゲイルド魔術国家の魔術師は皆そうやって暖を取っているのですか!
「トスカ、私に良い考えがあるわ! 寒さを忘れる曲を吹けば良いのよ!」
「それです!」
僕はクラリネットを持ち出しました。
……。
…………ふゅるるるる……。
寒くて口が上手く固定出来ずクラリネットを吹くことが出来ません!
「はあ、仕方が無いですね」
ゴルドがため息をついて僕に何かを唱えました。
「あ、ちょっと暖かくなりました」
「これ、実は結構高度な魔術なんですよ」
それをさらっと使うマオってやっぱり何者なんでしょう。というかシャムロエは平気なのでしょうか。
「シャムロエは寒くないのですか?」
「私? そうね、日頃の特訓の「鉱石精霊の魔力の影響で多少寒さに耐性がついています」せいかしら……まあ転生の能力でもあるかもしれないわね」
ゴルドが冷静に話しました。鉱石精霊の魔力があるからちょっと自己主張してきましたね。
「……とはいえ、ちょっとは期待していた」
「期待ですか?」
「……トスカの演奏。この先少し長い雪道だから」
それもそうですね。長い階段に長い雪道。要するに『気分転換』でもしたいのでしょうか。
「はあ、わかりました。ゴルドの魔術のおかげで少し楽になりましたし、演奏しながら歩くとしますか」
そう言って僕は簡単な即興曲を演奏しながら歩きました。
♪
しばらく歩くと、大きな神殿が見えてきました。
強い吹雪に囲まれて、近くに行かないと見えないほど周囲は酷く、人の気配がありません。
「ゴルド、人はいますか?」
「すみません。ここでは僕やマオの力では気配の察知ができないかもしれません」
「え、それってどういう」
りーん。
そんな音が『見えました』。
その音が広がり、僕やシャムロエ達の体へとぶつかります。
その時でした。しっかりと見えたのは全身魔力のゴルドです。
「なるほど。これが『力』ですか」
「そうみたいです」
鈴の音。それがゴルドを包み込みました。ただ音もずっと留まるわけでは無く、次第に周囲へ散布しました。
「三人とも体に異変はありませんか?」
「ええ、大丈夫。少し体が重く感じるくらい」
「……ん」
「ボクもまだ大丈夫です」
大丈夫と言いつつ少し足が重く見えますね。仕方がありません。
リーンと鳴る音を僕は『掴み』それを周囲へばらまきました。
「……少し軽くなった。ありがたい」
「どういたしまして。それよりもまもなく到着です」
神殿の入り口。そこへ立った瞬間でした。
大きな扉は開き、そこから一人の少女が現れました。
小さな女の子。マオと同じくローブを着ていて、右手には大きな杖を持っています。
目は丸く、肩まである赤い髪が特徴的な女の子。
「ようこそ。トスカさん。シャムロエさん。マオさん。そして『ゴルドくん』」
今回トスカが吹いた曲がこちらのurl(Twitter)となります。
https://twitter.com/kanpaneito/status/1126435566344499200
早いものでもう五十話!これも温かい応援あってのことです!これからも楽しく活動していきます!




