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☆♪眠れる森の腰痛治療

 このお話ではトスカが演奏をします。それをおまけとしてTwitterにて公開しております。よろしければそちらもどうぞ!

「木の実拾ってきたわよ」

「ありがとうございます。マオ、お願いできますか?」

「……わかった」


 魔獣の音も無くなり、まずは安全な状態を確保。日が落ちたので今日は野宿です。

 そしてマオには木の実に毒があるか調べてもらっています。木の実から出ている魔力や成分を確認することができるとかなんとか。何でもできますね。


「……ん、大丈夫」

「では、少し焼いて食べるとしましょう」


 マーシャおばちゃんと生活していたときに料理の勉強もしていたので、ここで役に立つとは思いませんでした……と言っても焼くだけですが。

 マオに再度魔術をお願いして、木の葉を集めた場所に火をつけてもらいました。

 パチパチと音がなる火の近くで木の棒に刺した木の実を軽く焼いていると、ふとマーシャおばちゃんを思い出しました。


「そういえばマーシャおばちゃん、ご飯は食べてるでしょうか」

「きっと大丈夫よ。あの村の人達は皆優しいんでしょ?」

「そうですね。きっと誰かに作ってもらってますよね」


 シャムロエの前向きな気持ちは見習うべきですね。良い音楽は良い心からってマーシャおばちゃんが良く言ってました。


「それより、マーシャさんはなんで私を転生者だと思ったのかしら?」

「……普通の人間と変わらないように見える」


 マオがシャムロエをじーっと見て、照れ隠しなのかマオに抱きつきました。マオが僕に助けを求めていますが、すみません。木の実を軽く焼くという重要な仕事で手が離せません。と言っても……。


「心当たりくらいは僕もありますけどね」

「どんな?」


 だって、さっきから本来聞こえるべき……いえ、見えるべき音が見えないのです。



「シャムロエから心臓の音が見えないのですよね」



「……え?」


 シャムロエが胸に手を当てました。というか、そういう事を平然とやらないでください。少し僕も照れますよ。もう少し恥じらいを持ってほしいです。


「本当だ……え、私死んでるの?」

「……違う。シャムロエは高位な精霊のように思える」

「マオ、わかるの?」

「……魔力は見える。シャムロエだけ凄まじい魔力を放っている。悪魔が近くにいたら飛びかかるくらい凄い魔力」

「よく意味が分からないけど、とにかく私は凄い存在なのね?」


 シャムロエの身体能力が高い理由はその辺が関わっているのでしょうか?

 人間では無く精霊『の様な存在』となると、少しだけ納得出来ます。


「記憶が戻ればもっと分かるのかな?」

「可能性はありそうですね。とにかく今は北の『魔術研究所』へ行くしかなさそうですね」

「そうね。そういえば話が変わるのだけれど」


 シャムロエが真剣な顔で僕に話しかけました。



「腰が凄く痛いんだけど、なんとかできる?」



「突然何を言い出すんですか?」


 本当に何を言い出すのでしょう。それを僕に言ったところで解決策は……。


「ガラン王国へ進むに連れて腰が酷く痛むのよ。確かトスカって『腰痛治療』もやってたんでしょ?」

「僕の力をそんな名前で呼ばないでくれませんか!」

「良いじゃない。お互い力を見せ合うのは仲間の証拠。この場で腰痛が治れば、後々の冒険に役立つわよ?」

「少なくとも緊急時に腰痛治療を行うほど愉快な旅になるとは思いませんが……」


 ため息をついて、とりあえず『クラリネット』を構えました。


「腰痛が治れば良いですか?」

「……睡眠効果も要望。ふあーっ」

「注文が多いですね」


 そう言って僕はクラリネットに息を吹き込み、音を出しました。

 名前は『眠れる森の腰痛治療』とでもしますか。


 ♪


 軽く一曲吹き終えると、マオはすっかり寝ていました。逆にシャムロエは眠るどころか椅子の代わりにしていた切り株を叩いて楽しんでいました。


「……くー」


 マオがすっかり寝ている状態で、シャムロエが話しかけました。



「……まさか本当に腰痛が治ると思わなかったわ」

挿絵(By みてみん)


 今すぐクラリネットから異音を放って、小一時間ほどくすぐられている感覚に陥れようかとも思ってしまいました。


「あはは、冗談よ。そんな顔をしないで。でも少し変じゃないかしら?」

「何がですか?」

「うまく言えないのだけど、完治したと思ったら、また徐々に腰が痛くなってきたの」

「まさか転生した反動で得た能力が『腰痛』なんて、将来への希望が無くなりますね」

「そうじゃないわよ。ただ、こう……『何かが入り込んでいる気がするのよ』」

「……?」


 何かと言われると変に身構えてしまいますが、音と実物が見えない以上、何も抵抗ができません。


「……先に言っておこうかしら?」

「何をですか?」


「嫌な予感がするわね」


 それが的中するとは思いませんでした。

 トスカ君が吹いた『眠れる森の腰痛治療』はこんな感じの雰囲気な曲です!

 https://twitter.com/kanpaneito/status/1107035033074728960(Twitter)


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