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再び現る自称神

「カンパネ。久しぶりですね」


 以前夢の中で出会った自称神『カンパネ』と名乗りました。しかし何故ゴルドが?


『驚きました。まさかあの『鉱石精霊』も一緒に行動するとは思いませんでした』

「どういう意味ですか?」


 僕が質問すると、ゴルドの口から答えが返ってきます。


『本当はどこかのタイミングでまた夢の中で出会おうと思いましたが、『鉱石精霊』がいるならそれに越した事はありません』

「一体何を言っているか、ワタチにはわかりません。話しているのはゴルド様では無いのですか?」

「……中身が違う。魔力の量がいつものゴルドの倍……いや、それ以上ある」

『初めまして異世界の魔術師さん。僕はカンパネ。トスカとシャムロエとは既に会っているお友達です』

「……それは信じがたい」

『信じて欲しいですね。だって、この二人にはここへ来るようにお願いしたのですから」


 僕は無言で頷きます。

 確かにここへ来るようにカンパネから言われました。

 しかしその答えは何も教えてくれません。もしかしたら今答えを教えてくれるのでしょうか?


「約束は果たしました。カンパネ、僕達は貴方の助言で来たのです。もちろんその後の事も考えているのですよね?」

『正直に答えると、予想以上でした。さっきも言った通り『鉱石精霊』が一緒だとは思いませんでした。だったらもう少し『欲張りも』したいところです。じゃないと『勝てない』』

「勝てない?」

『こっちの話です。もちろんその後については考えています。そこの悪魔も知っている『静寂の鈴の巫女』に出会ってください』


 静寂の鈴の巫女。この大陸の象徴にしてミルダ歴を作った張本人。しかし何故その人に?


『静寂の鈴の巫女の持つ鈴はトスカの音と近い物があります。もしかしたら君が何者なのかを『静寂の鈴の巫女』は知っているかもしれません』

「かもしれません。ずいぶん神と名乗るには曖昧な答えですね」

『辛口ですね。ですが本当にそうとしか言えません』


 フワッとした答えですが、それ以上僕は何も声が出ませんでした。


「私が何者か。教えてくれるのかしら?」

『シャムロエ。君が何者なのかはもう知っているはずです。先ほど教えて貰った通りこの世界の初代ガラン王国女王です』

「今ここで記憶を戻してくれる訳では無いのね」

『はい。本当はゴルドの触れた書物に君の過去を書いていたのですが嬉しい誤算でした。まさかゴルドが直接話してくれましたから』

「もう一度聞くわ。記憶を戻す訳では無いのかしら?」

『……分かりました。ただし今はできません。遠回りになりますが、南に行ってください』

「南? ガラン王国かしら?」

『すみませんが、それはわかりません。今言えるのはそこまでとしか』

「……納得はいかないけどわかったわ」


 そしてシャムロエは強く握った拳を緩めました。


「……マオについては何か知っているの?」

『はい。貴女は『アマテラスさんの管轄』の地球から来た転移者。どうやら神の力を使わなかった数少ない転移者ですね』

「……神の力?』

「原初の魔力を持つ人は何かしら膨大な力を持っています。例えばこの『鉱石精霊』やそこの『音操人』ですね』


 音操人。そういえばゴルドと初めて会ったときもそんな事を言われた気がします。


『音は原初の魔力にして鉱石と同格です。なので神から人間にお願いをしたいのです』


 そしてゴルドの姿をしたカンパネが頭を少し下げました。


『時間。光。これらの原初の魔力を持つ人を探して欲しいのです』


 原初の魔力は確か『音、鉱石、時間、光、神』と以前フーリエが言っていました。

 そのうちの時間と光を?


 その時でした。



「いつまで、ボクに憑依して、いるんですか! 『心情……偽装』!」



 ゴルドが叫びました。


『うっ、さ、さすがですね。僕に体を乗っ取られるのは嫌でしたか? 鉱石精霊』

「当たり前です。不意打ちとは神のすることではありませんよ? はああああ!」

『はは、さすがにちょっとキツいですね。今回はこの辺にして、いつかまた夢にでも登場させてもらいます。今日は地上に降りれて良かったです。では』


 そう言って、ゴルドから何かが抜けた気がします。


「はあ、はあ」

「……ゴルドから急激な魔力の減少……む、ちょっと危険。『魔力供給』」


 マオがゴルドに触れて術を唱えました。


「驚きました。まさか魔力を相手に分け与える神術まで使えるなんて」

「……これくらいは問題ない……魔力の減少が収まった。少し休憩を勧める」

「はい。そうさせていただきます」


 フーリエが廊下に出て近くの研究員を呼び止めました。

「この方を医務室の布団へ」

「は、はい!」


 そしてゴルドは部屋の外へ出て行きました。


「困ったものね。まさかあの神様がゴルドに憑依するなんてね」

「……ゴルドが掴んだ本、燃え尽きていた。」


 シャムロエの過去について書いてある本とカンパネは言っていました。しかしゴルドに憑依してまで出てきたということはその本を読む必要が無いからでしょうか。

 一つ言えるのは、僕はこの大陸の自称神様から理不尽なお願いをされました。


「原初の魔力を持つ人間を集める。何故僕が……」


 田舎でのびのびと育った僕が何故その使命を背負わないといけないのか、不思議でなりませんでした。

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