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☆音操人と鉱石精霊の会話

 乱暴に牢屋へ連れ出され、僕とゴルドが同じ部屋。別の階層の牢屋にシャムロエとマオが連れて行かれました。


「上の階層に二人がいるみたいです」

「どうして別の階層ってわかるのですか?」

「音を見ただけです。上からシャムロエの声の音が見えたので」

「ということは、ここは牢屋だけでもずいぶん広いのですね。まるで要塞……ですね」

「それよりもゴルド、早く手錠を外してください。腰痛が言い訳でできませんは笑えませんよ?」



「腰痛の原因の所為でできません」



 一体何を言っているんですか! と言っても悪魔がどうせ関わっているのでしょうけど!


「ボク達のこの手錠には悪魔が宿っています。何故かは不明ですが、それが邪魔して上手に溶かせません」

「じゃあ僕が口笛を鳴らすので、手錠を出してください」


 そう言ってゴルドには手錠を僕の前に出して貰いました。


 ぴいいいいいっと一直線にゴルドの手錠を貫いた音は、そのまま色々な場所へ反射し、途中で消えて無くなりました。


「うむ、もう少し強い力で出せませんか?」

「消えませんか……。残念ながら指を咥えない口笛だけではこれが精一杯です」


 クラリネットで奏でる音に付与する効力と、口笛に付与する効力には大きな違いがありそうですね。また音量も何か関係しているのでしょうか。

 悪魔を封印するにはそれなりの音色や音量が必要ということなのですね。


「それで、何か別な方法は考えたのですか?」


 訪ねると、苦い顔をしてゴルドは答えました。


「賭けだったのですが、ボクは心で『この手錠は解除できません。なんとかしてください』と念じました。それをマオが『心情読破』で察していれば」

「せめて合図くらいはあっても良かったと思いますよ」


 ため息をつき、とりあえず周囲の音を見ました。

 ここは壁が所々鉄や金で作られているので、反射がすごいですね。


「ところでトスカはあの二人を何者だと思っているのですか?」

「へ? 急にどうしたのですか?」

挿絵(By みてみん)

 突然ゴルドが話しかけてきました。本当に突然すぎて、変な声を出しちゃったじゃないですか。


「おそらくですが、ボクはあの二人について知っています。特にシャムロエについては答えを知っています。マオについては、元々住んでいた場所に心当たりがある程度ですが」

「それは二人に話しましたか?」

「いえ、おそらく簡単に話して良い内容とは思えなかったので」


 ゴルドもその付近は考えていたそうですね。


「では、今後もその状態でお願いします。答えはきっと二人で見つけることが一番だと思うのです」

「記憶が戻るとは限りませんよ? あくまで前世や転移前の場所を知るだけだと思いますが」

「それでもです。シャムロエがガラン王と何か関係があった事は本人も知っています」


 二人は記憶がありませんが、それでも自分が何者だったかを見つけるのは、自分たちで探した方が良いと思います。


「ちなみにマオはどうして転移者だと分かったのですか?」

「それは」


 確かマーシャおばちゃんがそう言ったからだったような。

 そもそもマーシャおばちゃんが何故それを知っていたかを聞きそびれましたね。帰ったら聞きますか。


「僕の育ての親がそう言ったのです。マオの知っている言語を育ての親が話して通じたことから推測したのですよ」

「なるほど。その育ての親という方というのはすごいですね」


 当然です。自慢の親ですからね。


「ゴルドは千年間、ずっとあそこで寝ていたのですか?」

「ボクは……そうですね。百年は頑張りました。誰かに見つけて貰えるように目の前に現れたり、小さな魔術を唱えました。しかし、それを上回る『認識阻害』に負け、疲れて寝てしまいました」


 ゴルドにとって誰にも相手にされず、それも意図的では無く『そういうもの』として認識から外されてしまった。

 それはとても寂しいことですよね。


「ふう、色々話しましたが、最後に面白い事をトスカにだけ教えましょう」

「何ですか?」


「シャムロエはおそらく『鉱石精霊』の力を宿っています」


「どうしてそう思うのですか?」

「腰痛が答えですね」


 腰痛が答えって、なかなか滑稽ですね。


「悪魔の魔力と精霊の魔力は相性が最悪です。悪魔の魔力の大好物と言っても良いでしょう。そしてシャムロエもボクも同じ場所に痛みを感じた。おそらくボクの魔力を持っています」

「では鉱石精霊の術が使えるのですか?」

「本人次第ですが、少なくとも人間よりも強い力を出せることは確かでしょう」


 だから力が異常に強かったりするのですね。


「なかなか興味深いお話ありがとうございます。でもこれはシャムロエには内緒にしましょう」

「そうですね。トスカとボクの秘密にしましょう」


 そして僕は一点を見ました。あそこがこうきてこうきてあそこにたどり着くなら、これで届くでしょう。



「マオ、手錠を壊してこっちに来てください。パムレットあげますよ」



 一直線に飛んでいった声は僕の予想だとマオのいる場所へ到着したはずです。あとはシャムロエとマオを待つだけですね。


 たったったったと足音が聞こえて金髪少女と銀髪幼女が目の前に現れました。



「「(……)もうちょっと音量下げて!」」



 ちょっと強めでしたね。ごめんなさい。

 ほのぼの二人の少年の会話回です。

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