表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/156

☆長年の待ち人

 急な提案に驚きました。しかしある意味利害は一致しているのでしょうか?


 豊富に採掘できる鉱石は減る。僕達の旅の戦力は増える。悪い話ではありません。

 とくにこのゴルドという少年は鉱石の精霊です。きっと強いに決まっています。


「……普通に強い」

「そうなのですか?」


 マオが先ほどから僕の服の裾を掴んでいます。


「私も同意見ね。全然隙が生まれていない。何て言うのかしら……見極めないと足下をすくわれる感じね」


 シャムロエも右手をギュッと強く握り、ゴルドを見ます。


「あはは、ボクは所詮下位精霊です。確かに少し強いとは思いますが、原初の魔力を持った人がそこにいるので、なんとも言えませんよ」

「僕の事ですか?」

「ええ。音は目に見えない筈の魔力。よっぽど悪魔と戦った方がボクとしては楽ですね」


 苦笑するゴルド。一体過去に何があったのかきになりますが、とりあえず再確認をしましょう。


「こほん。僕達は『カンパネ』という神から北の魔術研究所に行くことを命じられました。その後の目的もわかりませんが、とりあえずそこまで同行してもらえるということで良いですか?」

「カンパネですか。この世界の神様から命令されるとは凄い人間ですね。わかりました。ボクもこの地から離れないといけない状態なので、協力します」


 そう言ってゴルドは右手を出しました。

 その右手を僕は掴み、握手を交わしました。


「よろしくお願いします。精霊ゴルド」

「はい。音を操る人間トスカ」


 精霊との契約というのは本で読んだことがありますが、案外それほど神々しい物ではないのですね。だって握手で終わっているのですもの。


 ☆


 鉱石精霊と一緒に鉱山を出ると、既に外は夜でした。

 結構長い時間いたのですね。予想外です。


「はあ、早く夕ご飯を食べたいわ。今日は何かしら」

「……パムレットを所望」


 相変わらず二人は呑気です。

 そんな二人の会話を聞いたのか、ゴルドが僕に質問をしました。


「宿があるのですか?」

「はい。『寒がり店主の休憩所』という場所です。店主にお願いして部屋を増やしてもらいますか?」

「いえ、ボクとトスカで一緒の部屋で良いでしょう」


 何か見た目同じ性別な感じですが相手は精霊です。少し緊張しますね。


 そして『寒がり店主の休憩所』に到着。既にご飯の準備をしているのでしょうか。とても良い香りがしてきました。


「あ、お帰りなさいませトスカ様。シャムロエ様。マオ様。すでにご飯の用意は……」


 フーリエの動きが止まりました。

 手に持っていたおたまを落として一直線にゴルドを見ていました。

 あ、一人増えると言わないといけませんね。


「フーリエ、すみませんがこの人は」


 ゴルドという名前の人で、今日からこの人も宿泊を……そう言おうとした瞬間でした。



「ご、ゴルド様!」



「あはは、まさか貴女と会えるとは思いませんでした」



 二人は知り合いだったのでしょうか。



 え、ちょっと待ってください。

 ゴルドは千年寝ていたのですよね?


 と言うことは、フーリエって……。


「……トスカ、今はきっと質問してはいけない」


 マオがまたしても僕の心を読んでいました。


「私もそう思うわ。だって、フーリエのあの姿をほっといて、夕ご飯の献立を聞くことは出来ないわね」


 シャムロエは「少し夜風に当たってくる」と言って外に出て行きました。


 確かにそうですね。



 フーリエは顔をぐしゃぐしゃにして、ゴルドに抱きついているのですから。

挿絵(By みてみん)

 フーリエとゴルドの関係は、しいて言えば兄妹みたいな感じです。長年どこかへ行っていたお兄ちゃんが帰ってきた。そんな感じですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ