表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/156

洞窟の異変

 鉱山の中は入り口こそ明るいのですが、進むに連れて暗くなってきました。

 暗い中でも少しだけ光って見える物もあり、それは魔力を帯びている鉱石の原石だとか。

 でも小さいので価値としては少ないそうですね。


 ちなみに発掘した鉱石は受付で買い取られ、持ち帰ることは出来ないそうです。砂金は小さすぎるので例外だそうですが。

 この辺りも例の戦争と関係していそうですね。


「てえい。ふーん、本当に生えている感じね」


 さりげなくシャムロエがその辺の壁を殴って穴を空けました。そこには足の指ほどの大きさの鉱石がゴロゴロと転がっています。


「むやみに壁を破壊しないでくださいね。天井が落ちたら終わるので」

「それもそうね」

「それもそうねじゃないですよ!」


 何も考えて無かったんですね!


「でも不思議ね。毎日あれほど人が来る中で、まだこんなに鉱石の原石があるなんて。まだ私たち一般人がこれるくらいの距離しか歩いてないわよ?」


 そうです。周囲は暗くなったとはいえ、全然前には進んでいません。

 入り口付近でも鉱石は十分取れるため、ここまで来る必要は無さそうです。


 軽く手を叩いて、反響する音を見てみました。


 ……まだ奥に……何かある?


 そんな違和感を感じました。


「ねえトスカ。これ以上行っても無駄そうだし、戻らない?」

「……賛成。パムレットもある」


 シャムロエとマオの提案に僕は一瞬同意しかけました。

 次の瞬間。



 微かに僕の叩いた音以外の音が奥から帰ってきました。


「どうしたの? 険しい顔して」

「……お腹すいた」

「待ってください、もう少し進みませんか?」


 僕の提案に、いつもならシャムロエもマオもついてきます。しかし、今回だけは変でした。


「無駄じゃない?『どうせ行き止まり』でしょ?」

「……魔力の反応も途切れている。『帰った方が有意義』」


 何故か強い言葉。まるで何かに言わされているような。


「マオ、魔術について質問なのですが、何かを隠す魔術ってありますか?」

「……唐突、でも答える。『隠す』にも色々定義はあるけど、一番手軽なのは神術の『認識阻害』。これを使われた人は一時的に『周囲から認識できなくなる』というもので、実際はいるのに視線や思考がゆがめられる凄い術」


 認識阻害。認識できなくなる。思考がゆがめられる。全然手軽には見えませんが。


 ですが、仮にそれがこの鉱山のどこかで使われていて、たまたま僕が目ではなく音を見て何かを見つけたとしたら……。


「やっぱり進みましょう! この先に何かがあります!」

「いつもより強引ね。何か見えたのかしら?」

「見えたのです! 音が!」


 僕の真剣な言葉にマオは僕に向けて何かを唱えました。


「……っ! これは。ごめんトスカ。気がつかなかった」

「な、何をしたのですか?」

「……いつものトスカに『心情読破』を使った。でも使って良かった。この先は『認識阻害』が使われている。何かが……ある!」


 その言葉にシャムロエも真剣な表情へ変わり、前へ進みました。

 この先の『何か』を求めて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ