表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/156

☆謎の二人の少女達

「ということで、マーシャおばちゃん。女の子二人が突然現れました」

「何を言っているんだい」


 自宅に帰り、マーシャおばちゃんの部屋に集まりました。金髪の少女はとりあえず僕の服を着せています。銀髪の幼い少女は無言ですがついては来てくれました。


 マーシャおばちゃんの反応は当然ですよね。

 突然帰ってきたと思ったら布団を持って外に出て行ったのです。


「まあ、魔獣が存在する世界。何が起こるか分かったもんじゃないからね。それよりも……そちらの金髪の娘さんは名前以外の『記憶が無い』のかい?」


 マーシャおばちゃんが金髪の少女に目を向け話しかけました。そして少女は答えます。


「はい。私は『シャムロエ』。それ以外は……うっすらですが思い出せません」

「うっすら?」

「あの墓地の風景は……少し記憶があるような……そんな感じです」

「そうかい。それで、そちらの銀髪の幼子は……」


「……ん」


「言葉も話せないと。困ったもんだね」


 マーシャおばちゃんが話しかけても、困った顔をする銀髪の幼女。せめて何者かが分かれば良いのだけれど。


「せめて名前は聞き出せれば……ねえ君」

「……っ!」

「ああ、お、驚かないで! その、僕はトスカ。トースーカー」

「……?」

挿絵(By みてみん)

 人差し指を自分に向けてもう一度言いました。


「トースーカ」

「……トースーカ?」

「そう、僕。トスカ!」

「……トスカ。Name? My name mao」

「っ! ごほっごほっ!」


 突然マーシャおばちゃんが咳き込みました。大丈夫でしょうか。


「これは驚いた……あんた、『あっちの世界の人間』かい!」

「あっちの世界?」

「ふむ、これは悠長な事はしていられないかも知れないねえ」


 そう言って、マーシャおばちゃんはクラリネットを吹き始めました。


 とても愉快な曲で、まるで歩く時の足の動きに合わせたテンポの曲。

 何故それを吹いたのかは分からないけれど、それを吹いた瞬間マーシャおばちゃんは立ち上がりました。


「え! た、立てるのですか?」

「一時的さ」


 一瞬話し、そして曲を吹きながら引き出しから地図を取り出しました。

 地図には『ミルダ大陸』全土が大まかに描いてあり、僕の住んでいる地域は比較的暖かい南の方です。

 地図と小さな袋を持ち、それをベッドまで持ってくると曲は終わりました。


「ふう、久々に動いたね」

「だ、大丈夫ですか?」

「ああ。心配は……いらないさ」


 一瞬息が詰まった感じに思えましたが、本人が大丈夫というならそうなのでしょう。


「良いかい? 今住んでいる場所はここ、草の地タプル村だ。そこからガラン王国を経由して大陸最北端の『魔術研究所』に行くんだ」

「ええ! 突然どうして!」


 行商人でも無ければ旅人でも無い。そんな僕が突然どうしてよりにもよって魔獣が蔓延る世界を縦断しないといけないのですか!


「これも運命さ。この銀髪の子は『別の世界の人間』さ。そしてこれは私の予想だけど、シャムロエって言ったかい? この娘はその転移の影響で現れた娘さ」

「それと僕が何の関係があるのですか!」


 僕の質問にゆっくり答えるマーシャおばちゃん。


「音が見え、音を操れるトスカの能力は、きっと必要になる。それに言ってたじゃ無いか。『世界を一度でも良いから旅してみたい』って」


「そうだけど……」


「ならちょうど良いきっかけさ。『大陸を旅し、二人が何者かを一緒に探してきなさい』」


「!」


 確かに世界を見たいと思った時期は何度もありました。

 こんな田舎町にずっと住むと思うと、息が詰まりそうでした。

 ですが急に旅に出るなんて。


「……一日。考えさせてください」


 そう言って、この場での答えを一旦保留にしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ