♪自称神との演奏
冒頭の劇中曲をTwitterで更新しました! よろしければお聴きいただければと思います!
♪
「ははは、凄いですね」
「っ!」
僕は目の前の自称神に向かって楽器を吹きました。
音の中には『正しい曲はこれだ』と教え込むように念じています。
「手が勝手に動いているよ。伴奏が君に合わせてるようだ」
当然です。僕が念じているので!
「念じて……本人はそう思うでしょう」
そして曲が終わり、僕は楽器から口を離しました。
「火や水、悪魔や精霊。これらは全て何かから生まれた概念です」
「……突然何の話しですか?」
僕の質問を無視して自称神は話し続けました。
「ですが、時間や光、鉱石や音はこの世界が生まれてから存在する特殊な概念です」
「……僕に何かを求めているのですか?」
「今は言えません。一つ確認をしたかったので」
「確認ですか?」
「はい。そして思った以上の成果です。僕が『動かされた』のですから」
「どういう意味ですか?」
「所詮僕は作られた神です。ですが、それでも僕は神です。この世界を守るためにも原初の魔力は必要不可欠となります」
「この世界を……守る?」
この自称神は僕の言葉が耳に入っているのでしょうか?
先ほどから全く聞く耳を持たない気がします。
「……すみません。時間が無いので無視していたわけではありません。ですが言いたいことも言えたので、僕はこの辺で」
「待ちなさいよ! まだトスカが不服そうよ!」
「またいずれ会えますよ。それに、君たちも早く目覚めた方が良いです」
「え?」
「マオ……あの子が今、とても頑張っていますよ?」
☆
目を覚ますと、目の前は砂埃で見えませんでした。
まるで何か強力な爆弾で部屋を吹き飛ばされたか、壁にはぽっかりと穴が空いています。天井も吹き飛んでいますね。
「って、何ですかこれは!」
「……やっと起きた。遅い」
ふと周囲を見ると少し光っています。
「……魔力で防御術を張っている。目覚めるまで耐えるしか無かった」
「耐えるって、何に」
「……あれ!」
『ガアアアアアアアアアア!』
目が赤く、顔も白い。ついでに言えば髪も白い人間のような形の何かが襲ってきていました。
「……『火球』!」
マオが火の球を出し、白い何かへ当てました。
ボオンと豪快な音を出し、白い何かが吹き飛びます。
「……もう守りは大丈夫?」
「あ、ありがとうございます」
「……子守歌のお礼。それよりもまた来る!」
『グアアアアアアアアア!』
全身血だらけになりながらも、また僕達へ襲ってくる白い何か。
しかしその瞬間でした。
「ていああ!」
横から金髪の人間……いえ、シャムロエが飛んで来ました。
『グアァァァアア!』
吹っ飛んでいき、城下町の外の壁に衝突しました。というか穴が空いてその奥でうずくまっています。どんな威力の蹴りだったのですか!
「遅くなったわ。というかアレ何!」
「分かりません! ですが心臓の音も聞こえません!」
「なら悪魔? だから腰が痛むのね!」
体が痛むことで悪魔の気配を感じ取ることができる。全くもって良い能力ではありませんね。
「……悪魔だけど……心を読むと苦しみ、痛む。まるで人間の感情」
「苦しみ? シャムロエの蹴りが入ったからですか?」
「そ、そんな強く蹴ったかしら?」
まあ、壁に穴が空くほどの威力ですから、普通なら命は無くなりますよ。
「何の騒ぎですか!」
そこへ布でグルグル巻きの寒がり店主フーリエが登場です。
「って、み、店があああ!」
「こんな騒ぎだったのに気がつかなかったのですか!」
建物が半壊という括りでは収まりませんよ!
「夜は夜で良いお魚が捕れるのですよー。って、そうじゃないです! 喧嘩なら外でやってください!」
「喧嘩じゃ無くて奇襲よ!」
「奇襲?」
『ガアアアアア!』
再度白い何かが起き上がり、僕達を見ます。
「あれは……『悪魔契約者』?」
「え、分かるの?」
「『魔力探知』という術を応用させた術でわかります。ですが何故ここに……」
『グアアアア、クワアアセエエロオオ!』
何か話しました?
食わせろ。空腹なのですか?
それにしても白い何かから発せられる声の形は酷いです。見ていて不快になる形をしています。
「くっ、マオ様。『聖術』は使えますか?」
「……思い浮かぶのは『光球』」
「ならワタチがおびき寄せます!」
「え、フーリエが? 危ないでしょ!」
止めにかかるシャムロエを見て、フーリエは答えました。
「これでも戦闘に覚えがあります!」
今回の劇中曲の『呼び声』です。(Twitter)
https://twitter.com/kanpaneito/status/1110542927871172609