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孤島で最初の出会い

 木って所々尖っていて、刺さると痛いのですよね。

 怪我をするほどではありませんが、押し付けられると食い込むといいますか、とにかく痛いです。


「……押し付けられているんじゃない。どちらかと言うとトスカが押し付けている」

「ほう……ひへ……ふ……ふふうにはへへるんへふは?(どうして普通に喋れるんですか?)」

「……簡単。浮上にあわせてマオも上に向かえば問題ない」

「ほへ……ほふひほはへへ!(それ、僕にもかけてください)」

「……冗談抜きでこれは無理。ごめん。耐えて」


 マオは少し落ち込んだ目をしました。本当に無理なんですね。


「全く、だらしないわね。これくらいの力に負けるなんて、鍛錬が足りてないんじゃないの?」

「しゃふほへはへいほうふんへんへふへ!(シャムロエは平常運転ですね!)」

「……シャムロエは平常運転ですねとトスカは言っている」


 まさか音を操る僕が通訳を通すことになるとは思いませんでした。


 現在尋常じゃない速さで船は浮上し、僕達は船の倉庫の中に居ました。

 一気に海上へ向かっているからか、『僕達』はその動きについていけずに押しつぶされています。


「……僕達?」

「ほふはへへふへ!(僕だけですね!)」


 マオはぺたんと地面に座ってますがシャムロエに関しては普通に立っています。いや、時々歩いていますね。


 苦しみながらも耐えていると、なにやら浮上する際に聞こえてくる音が少し変化しました。


「は! はほはふへふ!(まもなくです!)」

「……! シャムロエ、直立はまずい!」

「へ?」


 ざっぱーーーーーん!


 そんな音が鳴り響きました。そして。


 ばあああああああん!


「……『風球』!」

「うわ!」


 突如持ち上げられた体が天井にぶつかりそうになった瞬間、何か見えないものに包み込まれました。


「ま、マオ。ありがとうございます」

「……一名、手遅れだった」


 ふわりと床に下ろされ天井を見てみると、綺麗な穴が一つ天井にあいてました。そして……



 ばあああああああああん!



「えーっと、大丈夫ですか?」

「ゆ、油断したわ。鉱石精霊の魔力が宿ってなかったら死んでいたわね」


 鉱石精霊の魔力を宿っていると体が丈夫になるのでしょうか。僕から見ればシャムロエ本来の丈夫さが今回役に立ったと思ったのですが。


「……損傷部は少ない。船も倉庫の天井だから、多分大丈夫」

「ふう、上でよかったわね」


 会話もそこそこにして、倉庫を出ました。そこには大きな海が広がっていました。周囲全て海というのは凄いですね。


「あ、さっき空から見えたけど、この先に小さな島が見えたわね。多分そこが『孤島』じゃない?」

「空から見たという言葉に違和感を感じないといけないと思うのですが、今は流します。とりあえずこのまままっすぐ進みましょう」

「……なら、帆を下げて。マオが動かす」


 船に取り付けてあった帆を下げると、そこに風を送り始めました。


「無理はしないでよ? 先は長いわよ」

「……ん」


 そう言って、しばらく船に揺られ続けました。


 ☆


「で、到着早々にこの目つきの悪い人たちは何よ?」

「僕にもわかりませんが、少なくとも良い人には見えませんね」


 孤島に到着すると、大勢の男の人に囲まれていました。


「女二人と男一人か。へっ、二人は奴隷にでもして、もう一人は……」


 物騒な言葉が聞こえましたよ!


「逃げてください!」

「おお? 俺達から逃げれるとでも?」

「ちがいます! 貴方達が逃げてください!」

「ああ!? 何だと!」


 腰の剣を抜き、僕達に向けきました。


「トスカの忠告は何故か不愉快だけど、その通りね。私の拳に耐えられるかしら?」

「は? 何を」


 シャムロエは少し歩き、一本の木の前で立ち止まりました。そして。



 シュッ。ポン!



 そんな変な音が聞こえました。


「あまりにも早い拳って、物を壊すんじゃないのよ。物を突き抜けるの。これを貴方達にしたら、そのお腹に大きな穴ができるわよ?」

「へ……は……うわああああ!」

「逃げろ! やべえやつだ!」

「あああああ!」


 シャムロエの脅しに逃げていく盗賊たち。全く物騒な場所ですね。


「……お見事。ついでにちょうど良いマキを手に入れた。シャムロエの行動は一石二鳥」

「いっせき……何て?」

「……一度の行動で二度美味しい。パムレットで例えると、一つのパムレットで外のサクサクと中のフワフワの二つが楽しめる」

「へー。面白い言葉ね。覚えておくわ」


 シャムロエがマオを撫でて僕のところへ戻ってきました。


「さて、今日はここで野宿にしましょう」

「そうですね」


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