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♪楽しいパムレット作り

 久々におまけで劇中曲を追加しました。

 あとがきにてurl(Twitter)を載せますので、よろしければどうぞ!

「……第一回。究極のパムレット作り。開始!」


 目をキラキラと輝かせて、息を荒くするマオ。その姿は普段の眠そうな雰囲気から一転して、やる気に満ちています。


 というか、命の危機だったり国の存亡の危機の時もなんとなく眠そうな感じでしたが、今日はそれを上回っています。


「……トスカ。勘違いをしている」

「何でしょう」

「……パムレットは国の危機よりも重要案件」

「それはマオだけの世界で考えてください!」


 僕の突っ込みも動じずにやる気の目は留まることを知りません。


「うむ、これは大々的な計画になったな」

「そうですねって、ガラン王! 何でここに! 護衛も沢山居ますね!」


 さらりと隣に現れたのはこの国の王様のガラン王です。

 謁見の間で会ったばかりなので久しい感じはしませんが、そもそもこの宿屋の庭に王様が居ることがなかなかこっけいですよ。


「あ、ワタチが呼びました。国の重要文化財を守る方法をここで行うと」

「す……凄いですね。しかしどうやって」

「うむ? 静寂の鈴の巫女様から手紙が届いてな。『知り合いがガラン王国のために一肌脱ぐため、立ち会っていただきたい』と来た。静寂の鈴の巫女様からの伝達だったら断るわけにも行かぬ」


 何やっているんですかミルダは!

 一応この大陸で一番の権力者ですよね!


「……パムレットは大陸を動かすお菓子と化けた」


「間違っては居ないわね……トスカ、私はどうやらこの件に関してあまり協力できそうに無いわ」

「逃げないでください! シャムロエが今この場から去ったら僕の精神が持ちません!」


 ガシッと捕まる僕。異性とかもう関係ありません。とにかくこの場で僕だけが残ることに我慢ができません。


「……では、料理に取り掛かる。トスカ、何か料理が進みそうな音楽を所望」

「唐突ですね!」

「うむ? ではガラン軍も少し手伝わせよう。何名か鳴り物を持っているからな」

「準備万端ですね!」


 ということで、マオとフーリエが料理をしている間、僕とシャムロエとガラン軍数名で応援の音楽を奏でていました。


 ♪


 そして見事壁にぶち当たりましたね。


「……大変。フワフワの生地が無い!」


 マオがこの世の終わりと言いたげな表情でシャムロエを見ました。いや、シャムロエを見たところで何も解決しませんよ?

 現にシャムロエも苦笑しています。


「うむ、土の精霊事情は良くなったと聞くが、一日二日で作物も育つわけでもなく。こればかりはどうしようも……」


 ちなみに今はパムレットの中に詰め込む『クリーム』という部分を作成し、あとはそれをふわふわな生地に詰め込むだけとなります。まずは普通のパムレットを作ってから試行錯誤しようという作戦でした。

 というか、その生地が有る意味重要部分だと思うのですが、途中で気がつかなかったのでしょうか?

 そっとフーリエを見てみると。


「ふんぐるや、あぶらうがうひぐん。えっと、『空腹の小悪魔』を百体召還して、生地を運ばせればまだ……」


 気がついていたのですね! もうそれ身を犠牲にする感じなので中止ですよ!

 とりあえずシャムロエにお願いをしてフーリエを抑えてもらいました。


「何か今日はぜんぜん活躍していない気がするわね」

「そうでもありませんよ。居るだけで僕の心のゆとりが増えます」

「それなら良いのだけど」


 さて、問題はこの『クリーム』をどうするかです。このままでも十分甘いのですが、料理のソースをそのまま食べている感じですね。


「ちなみに他の材料は何でしょうか?」

「そうですね……ワタチの全情報網を使ってかき集めた結果、保存食としてはかなり重宝される穀物と、香辛料が少々。果物も少し集めましたが、どれも味が……」

「味が悪いのですか?」

「と言いますか、とてもすっぱいのです。トスカ様一口どうぞ」


 そう言われて、一口分の大きさに切られた果物を口に入れられました。



「んんんんんん!」



 すさまじくすっぱいです!

 何ですかこれは!


「これはガラン王国で取れる果物の『レモン』と呼ばれるものです。歴史はかなり古く、マリー様が作るのに携わったと言われています」


 マリーって確か魔術研究所の初代館長で、別世界の人間……でしたっけ?

 とはいえ、こんなすっぱい果物をどうすれば……。


 いや、ちょっと待ってください。今ちょうどガラン軍がぞろぞろと居ましたね。


「あのー、すみませんがこの中で携帯食料を持っている人はいませんか?」


 以前マオが検問で何かお菓子のようなものを貰ったことを思い出しました。


「あ、俺が持ってる」

「すみませんが、一ついただけますか?」

「ああ。ほらよ」


 そして貰った食料は、『何か』を固めた『何か』です。うん、とりあえず携帯食料以外の言葉が出てきませんね。


 それを半分に割って、一つはパムレットの材料のクリームにつけました。


「こ……これは!」

「……トスカ、どうしたの?」

「あ、いや、一度これを食べて見てください!」


 そう言ってクリームを付け足し、マオの口に入れました。


「……ムグ! これは……パムレット味の……『何か!』」


 さらに僕はひらめきました。このすっぱい果実は適量なら……。

 少し絞って、それを再度マオの口に入れました。


「……んんん! これは!!!」


「ど、どうしたのよ?」


「……宇宙が……見えた」


 意味が分かりませんが、とりあえずおいしいという事ですね!


 マオの満面の笑みを見て、ガラン軍の中にまだ携帯食料を持っていた人が、パムレットのクリームを付けて食べ始めました。


「これは……凄い。はっ! 王を差し置いて申し訳ございません!」

「良い。それよりも我にもいただけるか? 試食故そのままで良い」

「はっ! どうぞ!」


 そしてクリームを付けて食べ、次に『レモン』を一滴入れて食べる。そのしっかりと味わう姿はその道を歩んだ人にも……いや、見えないですね。


「うむ、これはすばらしい。パムレットの味はするが、それとは全く異なるもの。いや、パムレットをさらに親しみやすくしたパムレットの子供と言うべきだろう」


 そしてガラン王はマントを広げて大声で『命令』しました。


「命令だ。このパムレットの子……名を『パムレ』と名付ける。これを量産し、ガラン軍の携帯食料の改善。そしてよりパムレットを市民に親しみやすいよう計画を進めてくれ! 予算は問わぬ! 全力で各国のパムレット業界に名を広めよ!」


 こうして、ミルダ大陸の歴史に大きな影響を与える瞬間をまたしても立ち会うことになった僕達でした。


 というか、パムレットが世界を動かすってどういうことでしょうか。

おまけの劇中曲はこちらのurlとなります。

https://twitter.com/kanpaneito/status/1181166682129068033

楽しくクッキングしている感じが伝わっていただければと思います!

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