精霊の心-8-
7月行われる怒涛の更新?知らない子ですね。
というわけで、すいませんでしたああああ!!!!
「6月でなんとか落ち着いたっぽいしこれで更新たくさん出来そうだな!(フラグ)」
みたいになっちゃいまして、7月もとても忙しかったとです……。本当なんですよ!!
しかし更新すると言って結局出来なかったのは完全に私の落ち度ですので謝罪させていただきました。本当にすいません。
とりあえずこれ投稿してからまた執筆に戻りますんで、はい。
さて、今回のお話では当初の予定と少し内容が変わりまして、どことは言いませんが予定よりも今後の内容が濃くなりそうです。面白くなるなら少し精霊の心編が予定より長くなっても問題ないよね!
*訪問
月詠は理事長のデスクに広げた手帳で、明日の予定を確認していた。
学生をしながらの理事長というのは、スケジュールを合わせなければいけないなど大変なことが多い。というのは今までの話で、実は理事長交代時に先代の理事長が業務内容を修正して、負担を軽くしてくれたのだ。そして、軽くなった分の負担を背負うのが……。
コンコン、と扉を二回ノックする音が聞こえる。誰が来たかはもう分かっていた。
「入って」
理事長室の木目調の少し重い扉を開け、ゆっくりと入ってきた人物は岡だった。
「理事長室はどうだ? 新理事長殿」
入ってきて早々、岡は茶化す。
「やめなさいな、先代の時から私が遊びに来ていることは知っているでしょうに……」
月詠は岡を睨みつけ呆れながら言うが、当の岡は詫びる様子もなく、いたずらに笑ってから話を始める。
「一つ目は編入生の話だ。知ってるだろ?」
「ええ、入学式の時に見たわ。とても可愛い子だったけれど、どこで拾ってきたの?」
岡はため息をついてから質問に答える。
「わーからん、年齢も出身も人間なのかどうかも、な」
月詠は少し考え、デスクの下に設置した冷凍庫からシャリシャリ君のほうじ茶味を取り出し、少しずつ食べ始める。口の中が空になってからまた話し始めた。
「まあ神祠先輩と暁先輩が連れてきたならいいでしょ。貴方も面倒を見てくれるんでしょう?」
シャリシャリ君を食べている月詠を見て、立って話すのがアホらしくなった岡は、レザーの高級そうなソファーにドサッと座り、足を組んで答える。
「見捨てるわけにもいかないしなぁ……。身寄りもないんじゃ面倒見るしかないだろ。それに……」
岡は途中で言葉を切る。気になった月詠は続きを言うよう促す。
「それにどうしたの?」
「なんか、変な感じがする。ここで見捨ててはいけないような妙な感じがな」
とても抽象的でちゃんとした内容はよくわからないが、月詠は岡の勘を高く評価していた。他の職員とは比べられないくらいに色々なことを経験してきているのも理由の一つだ。今回も岡の勘を信じることにした。
「分かったわ、確かにそこらへんに捨てれるわけないし。そもそも岡が言うんだもの、間違いなんてないわよね?」
「お、おう……」
とても厚い信頼に嬉しくはあるが、ちょっと重すぎる気がする岡。まあいいか、などと適当に思考するのをやめ、次の話題に入る。
「次の話だが、異の門についてだ」
シャリシャリ君を食べ終わり、残った木の棒を近くのごみ箱に捨てようとしていたが、異の門が岡の口から出た瞬間動きを止めた。
「……やっぱり貴方も気付いたのね」
「ああ、どうも世境に怪しい動きがあったみたいなんだが、そのすぐ二日後に仙王学園内にある異の門の接続値が変に揺らいでやがる」
世境と異の門を繋げている魔力の数値が接続値だ。それが揺らぐ時は、基本的に異の門を使用したとき。世境に動きがあるというのも、何らかしらの負荷がかかっている時のことを言っている。それ自体は別に珍しくもない。問題なのは無許可で何者かがちょっかいを出しているからだ。それも学園内の異の門に。
「明日からしばらく異の門は閉鎖した方が良さそうね。幸い新年度は始まったばかりだから誰も生徒は遠征してないでしょう?」
岡は頷くが、そのまま「そうなんだけどな……」と続ける。
「考えすぎじゃなければいいが、神祠と暁とあの胡桃とかいうちび助が巻き込まれないか心配でな……」
少し驚いた表情になる月詠。何か忘れていたことを思い出した、という顔をしていた。
「そうね、気持ちはわかるわ」
「「……」」
先ほども月詠が信頼を寄せていたが、岡の勘はよく当たる。しかし今回ばかりは外れてほしいと願う岡と月詠だった。
*Enter
柚斗達三人は日が暮れ始めたので、最後に一か所だけ紹介してから寮に帰ることにした。昼、ホームルーム終了後には溢れんばかりだった生徒と入学式を見に来ていた保護者、それと入学式最中には気づかなかったが何かしらのマスメディアの記者などで賑わっていた学園。それが今は仕事に追われる教職員と学園内で遊んだりしていたと思われる生徒がまばらにいるだけだった。
「さいごになにみるのー?」
ホームルームが終わってから、昼食のことも忘れるほどに楽しんで学園内を探検していた胡桃。まだまだ見足りないという感じではあるが、学園を案内していた柚斗と結那の方が疲れて、「若さってすごい……」などと年甲斐もないことを口からこぼしてしまう始末で、なんとか胡桃を説得してあと一か所だけ紹介するので勘弁してもらうことになったのだ。
「最後は異の門だよ」
胡桃の問いに答えた結那。ちなみに胡桃と結那は今朝と同じようにずっと手をつないでいる。柚斗が一歩引いて後ろ姿を見てみれば、完全に仲の良い姉妹のそれだった。心の中で結構悔しがっていたのは秘密にしておく柚斗だった。
悔しがっている柚斗はさておき、三人は異の門に着いた。
「おっきい~……けど、もやもや?」
胡桃は不思議がる。シックなデザインの大きな門が開いた状態で目の前にあるのだが、門の中は水面の波紋のような揺らぎがあり、門の先に映る景色がよく見えない。
「この門はね、許可された人だけが通れるんだよ」
「ふーん、じゃあおにいちゃんとおねえちゃんはとおれるの?」
結那は首を振って否定する。
「通れないよ、特別何かがない限りは高等部以上にならないと許可がもらえないんだー。まあ逆に言えば私と柚斗もそろそろ貰えるってことなんだけどね」
胡桃は少し残念がる。恐らくは入ってみたいとか思っていたのだろう。しかしここは口に出さずグッと抑えている胡桃。よく出来た子だと感じる柚斗と結那。
ちなみに柚斗はというと、異の門の紹介は結那がやってくれそうなので、あくびをしながら二人の少し後ろで門をただ眺めている。しかし次の瞬間、予想だにしていなかったことが起きた。
辺りから突然、駆動音のようなものが聞こえてくる。しかもかなり大きな音だ。
驚いた胡桃は思わず結那に抱きつく。結那は抱きついてきた胡桃の頭を撫でながら音源を探している。柚斗も音源を探すが、周りを見渡す限り、音源になりそうなものは一つしか無かった。
「異の門……なのか、この音は?」
柚斗は信じ難いといった感じで異の門を見上げながら言った。結那と胡桃は、異の門を見上げる柚斗の隣で同じように異の門を見上げた。
「なんの音か分からないけどとりあえず離れた方が……」
しかし結那の言葉は途中で遮られる。突然柚斗達に浮遊感が襲う。否、実際に浮いていた。
「な……浮いてる!?」
一体なにが起きているのか理解出来ないでいる柚斗は、少し自分よりも高い位置にいる結那と胡桃の方を見て理解した。
正確には浮いているのでは無い。異の門に吸われているのだ。異の門に吸われるなど聞いたこともない。だが先程の異常な駆動音のようなものがこの異の門の動きに関係しているとすれば……いや、それしか考えられない。
「柚斗!」
「おにいちゃん!」
柚斗を呼び、助けを求めるように手を伸ばす結那と胡桃。ゆっくりと異の門に近づいていく三人だったが、結那と胡桃はもう異の門の目の前まで来ていた。
「ぐっ!!」
柚斗も二人に向かって手を伸ばすが、五メートルくらい離れていて、あまりにも遠過ぎる。そうしている間に結那と胡桃の二人は、異の門に飲み込まれてしまった。柚斗ももうすぐ飲まれてしまうだろう。何も出来ずにいた柚斗だったが、少し遠い建物の五階から飛び降り、走ってくる岡が見えた。
「岡! どうなってやがるんだ!?」
岡が恐らく異の門に飲み込まれないであろうギリギリのところまで近寄ると、柚斗目掛けて携帯端末を思いっきり投げる。柚斗がそれをキャッチするのを確認すると、岡が大声で叫んできた。
「よく聞け神祠! 恐らくどこかの世界に飛ばされると思うが、その端末でなら連絡が取れるはずだ。着いたら学校に連絡しろ。細かい話はその時だ!!」
「はあ!? なんだそりゃ!」
その言葉を最後に柚斗も異の門に飲まれていった。すると異の門が突然止まる。柚斗が居なくなり、異の門の近くに一人となった岡。学園を色付ける夕焼けに向かって誰も聞くことのない愚痴をこぼす。
「ったく、面倒事増やしやがって……犯人探しは俺の仕事かよ……」
この時、岡は柚斗を飲み込んでから即座に止まる異の門を見て気付いていた。この異常な動きに対してピッタリと止まった異の門。まるで人が操作しているかのような停止のタイミングだということに。
岡は自分の携帯端末を取り出し、駆動音に気付き、急いで飛び出してきた理事長室にいる月詠に連絡する。
『もしもし、どうだった?』
「最悪だ、俺の生徒と胡桃が異の門に飲み込まれた。それと学園に侵入者がいるらしい。そいつを探すぞ」
状況を伝えた岡は通話を切り、学園の異の門を管理する建物へ向かう。昨日までの動きは無理やり遠隔で操作しようとすれば出来る。だが今日のような細かい調整となると話は変わる。直接の操作が必要になるはずだ。流石にもう侵入者は移動しているだろうが、何か痕跡が残っているかもしれない。そして岡には、侵入者を生きて学園から出す気など全く無かった。
「異の門の制御を乗っ取るなんざ相当重い罪だぜ全くよぉ!!」
怠惰と殺意の入り交じった目をした岡はスーツのポケットに携帯端末を仕舞い、両手をポケットに突っ込んで歩く。
夕焼けが照らす後ろ姿は、影そのものに見えた。
さてさてさーて、更新の頻度が低いと中々読者が増えないネット小説ですが、更新速度なんとかならないですかね? いや、なんとかするのは私自身の問題ですね……。
そういえば前書き後書きを毎回結構丁寧に書いてる私なんですが。
皆さん前書き後書きって読みますか? 私は何か作品を読んだりするときは必ず目を通します。だって面白いですしおすし。
まあ私のが面白いかは分かりませんけどね(笑)
でもこういう場で無駄話を扱うのは結構楽しいのでぜひ読んでほしいです!
そんなこんなで今日の無駄話なんですが、最近私の近所の自販機にマウンテンデューと7UPが実装されたんですよ。マウンテンデューといえばメタギア!そして小島監督の登場するピースウォーカーのネタを思い出してしまいましてね!! はい、それだけです。すいませんでした。
人気作家を目指せー!……目指すの?
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