精霊の心-3-
タイムリーで追って読んでくださっている方はお久しぶりです。この作品を読んでくださっている方から時々アドバイスや誤字脱字などを教えてもらい、大変お世話になっています。ありがとうございます!
この作品を書いてて思うのは「あれ、ストーリーの進みがゆっくりだな…大丈夫だろうか」ということです。分けて書いているとそのへんの感覚がどうもわかりにくくて……。ちょっとした悩みになっています。
さて、今回の内容ですが、まだアクションパートは来ません…。まあ今回の分含めてもまだ6000字くらいなのでそんなもんかもしれないですね!(何が)
ちなみに登場人物が今回は3人同じところに現れます!こういうちょっとずつ人の輪が大きくなるのは書いてる側としてはとても嬉しいですね!!
*悩める朝
「うーん」
赤いメタリックカラーのボールペンを握る柚斗の右手は、真っ白なノートにペン先を置いたまま完全に停止していた。
女の子にはリビングにあるテレビをソファに座らせて、テキトーに観させている。どうやらテレビのリモコン操作で四苦八苦しているようだが、先程手伝おうとしたところ、「だいじょうぶ、もうすこしでできそうなの!」とかいって断られたので柚斗は名前を考えるのに専念している。
(とりあえずテーマを決めてそこに絞るか?そうすると……春なんて無難か。よし、これでいこう)
柚斗はノートへ春に関するワードを書き出していく。
(桜、春風、出会いの季節だな。そういえば新学期でもあるし芽生えの季節でもある。しかし考えてみると意外と思い浮かばない…っと、そういや菜の花ってのもあったな。)
その後も10分ほど同じ調子でワードを考え続けた柚斗は最終的に2つのワードに絞る。
(最初に出た桜か、ちょっと時期がズレてる気もするが胡桃だな)
胡桃の花は確か5月下旬くらいだった気がするので、春の終わり頃なのだ。
柚斗がこの2つに絞った理由は2つ、可愛さと柚斗個人の好みによるものだ。しかしここから先が決断出来ない。何せ両方とも良い。もちろん柚斗の主観によるものだが。
しかし、このあと柚斗を決断させる出来事が起きた。それは女の子が観ていた番組の特集だった。
『今年流行の名前は「桜」ですね。今年の桜は天候の条件もよく、特に美しいですから。もしかしたらそれが影響しているのかもしれません』
「……」
柚斗のあまり好きではないものの1つに流行りものというのがある。つまり名前だって出来れば被りにくい方を選びたい。しかし同時に常識から逸脱したものは避けたい。なんとも難しい判断基準だが今回の場合、答えは1つしか無かった。
柚斗はテレビをジッと見つめる女の子の隣に座り、ひと息つく。女の子がどうしたの?と言いたげな目で柚斗を見ていた。それに対し、少し笑みを浮かべ言った。
「名前、決まったぞ。今日からよろしくな、胡桃」
胡桃はしばらくキョトンとしていたが、すぐに満面の笑みへ変わった。
「うん!ありがとうおにいちゃん!!」
「お、お兄ちゃん!?ってそういえば俺まだ名乗ってないもんな……」
柚斗は一度咳払いをしてから名乗る。
「俺の名前は神祠柚斗、呼び方はまあ何でもいいよ。あと、記憶を取り戻すまではうちに住むことになるだろう?でもそのために胡桃には俺の妹ってことにしてもらうから。つまり神祠胡桃ってことになるからな!」
「はーい!」
よほど気に入ってくれたのか、元気な返事と共に腕を広げながら玄関の方まで廊下を走っていく。
柚斗としては気に入ってくれたのなら良かったが、テレビ画面に表示された時間を見ると、そろそろとなりに住む幼馴染と一緒に学校へ行く時間だった。
(とりあえず胡桃を1人にするのは不安だし、岡のやつのところにでも連れてってみるか)
岡というのは学園に入ってから何かと世話になっている先生なのだが、柚斗は何故かこの先生だけは「岡」と呼び捨てにしたくなる。親近感というやつだろうか?
胡桃がリビングから玄関までを行ったり来たりと、走り回っているのをソファから眺めていた柚斗だったが、不意にドアがノックされ、声が聞こえてきた。
「柚斗ー、わたしだけど準備出来てる?ていうかドタバタうるさいんだけど、ドア開けるよ?」
そう言うと声の主はドアを開ける。ドアの向こうにいたのは、となりに住んでいる幼馴染の暁結那だった。柚斗からすると時間的に予想通りなのだが、結那の表情はなんというか、少なくとも予想通りでは無さそうだった。
「……柚斗、いつから妹が出来たのかなぁ?」
結那は怪訝な顔をして玄関前で立っていた胡桃と目を合わせ、柚斗に問いかけた。
それに対して柚斗は悩む。自分でもよく分かっていない状況の説明をどうやってしたものか。というか説明が長くなってしまう。そこでとりあえずこの場は一言で済ませることにした。
「えーっと、今だ」
無表情のまま結那は柚斗宅に上がり、柚斗の座っているソファまで歩いていき一発。
「せめて上下服を着せなさいよ!」
スパァァン!!と、結那はいつの間にか手にしたスリッパで柚斗の頭をはたく。
「すいません……」と柚斗が言いながらはたかれたところをさする。一方胡桃は、ついさっき結那が浮かべていた表情より更に戸惑った表情で一連の流れを眺めていた。
遂に名前が決まりましたね。ここまでにまさか3話費やすとは思いませんでしたが(´・ω・`)
今後の予定としては次かその次あたりでしょうか、初アクションパートになります!やったね!!
*誤字・脱字等報告していただけると大変助かります。