精霊の心-2-
ちょうど1話から1ヶ月くらい経ちました。モンハンも新作出ましたね。忙しい時期も抜けたのでペースは上がりそうです!
この精霊の心編なんですが、主要キャラが全員登場するまではもう少しかかりそうです...。
*出会いをした朝
柚斗はベッドで目を覚ました。ついに入学式の日になってしまったようだ。
昨日、スーパーからの帰り道で起きた出来事は今でも鮮明に覚えている。
(そうだ、とりあえず学校の準備しとかないと...)
そう思った柚斗は身体を起こし、ベッドから抜けようとする。
「おはよう......ございます」
「おう、おはよう」
何気なく挨拶を交わし、ベッドを抜け出して準備を始める。
柚斗の通う仙王学園は小中高3つを兼ね備えたトンデモ学園だ。学園の生徒は大半が学生寮で暮らしている。
理由としてはこの学園の特徴とも言える『魔法』を学びに、地方から来ている人も多いからだ。
入学式と言えば。
3年前、柚斗は幼馴染みの女の子と仙王学園の中等部に入学したが、その幼馴染みが寮に入る時、-親族以外の相部屋禁止-というルールをアイツはとにかく嫌った。
(中学生にもなって男女で一緒にってのも色々を誤解を生みそうだったから俺としては悪くなかったんだが......)
柚斗と幼馴染みは、理由あって学園の寮に来るまでは同じ家で暮らしていた。幼馴染みのわがままで部屋を隣同士にしてもらい、なんとか落ち着いた。
(血縁関係なくても家族なんだけどな...)
当時そんな思考が脳裏をよぎったりもしたが、柚斗は突っ込まないことにする。
ちなみにしばらくして学生寮の規則が意外と守っている人が少ないことを知ってからは普通に泊まりに来るようになったが、仲の良い生徒同士ではよくあることらしいのでもう諦めることにした。
なんて3年前の思い出に浸っていた柚斗だが、ここで1つ、何か大事なことを忘れている気がする。
(......なんか起きてから違和感があるような気がするんだけど)
柚斗は焦るのを感じた。何かイケナイことが起きているような気がするからだ。
(落ち着け神祠柚斗、朝起きてからの動きを思い出すんだ!えーと、起きてからおはようって聞こえたから返して...ん?)
思い出に浸りながら着替えたり洗面所で顔を洗ったりと、家を出る準備をしていたのだが、そもそも最初からおかしかったのだ。そして異変に気づいた柚斗は制服のブレザーを着崩したような状態のまま寝室まで走って滑り込む。
その勢いのまま扉を思いっきり開けると、ドアの音に驚いたのか、ベッドも勢いよく跳ねた...訳はなく、つまりベッドの上に誰かいるようなのだが、当然柚斗に心当たりなど幼馴染み以外はない。
とりあえず誰がいるのか確認しよう、そう思った柚斗が立ち上がってみると...。
そこにいたのは、(柚斗が愛用している)タオルで全身を覆う、見たことのない裸の女の子。
「おいおい、誰だよ...」
わけがわからない状況に、思わずため息を漏らす柚斗。一方、女の子は綺麗な黒髪と肩を揺らし、くるまったタオルから柚斗を覗く。
「...み、みないでくださいっ!!」
女の子から発された最初の言葉、いや正確には2回目か。2人の出会いはどうやらここから始まってしまうようだ。
*新しい朝
朝、目が覚めた彼女は髪をとかしたりして身支度を始め、新しい制服に着替える。
(少しスカート、短かったかな...?)
そんな言葉を頭に浮かべながら鏡の前でくるりと1回。美しく長い黒髪と制服のスカートを揺らしながら少し微笑む少女、暁結那。
今日から始まる高校生としての生活が楽しみでたまらない!!
もっとも仙王学園内で中学生から高校生になるだけなのでほとんど変わることもないのだが、気持ちがどうも落ち着かない。制服が変わったことで緊張しているのだろうか。高等部の制服をきた自分を幼馴染みのアイツに見せたい。
今はそんな気持ちが早るだけだった。
*出会ってしまう2人
謎の裸体少女Xと遭遇した柚斗は、とりあえず自分の白いフード付きパーカーだけ着せて、色々と問題が起きないよう対処した。
「そんで、どうしてここにいるんだ?っていうか俺のベッドとタオル!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
おっと、どうやら驚かせてしまったようだ。
「あー、別に怒ってるわけじゃないから、大きな声出してごめんな?」
そう言いながら柚斗は女の子の頭を被っているフードの上からそっと撫でてみる。
すると、女の子はお気に召したのか顔から緊張が抜けたのが分かる。なんというか、とても庇護欲が湧く可愛さだ。
それから無言で撫で続けること3分。
「...」
(気まずい、どうするんだ柚斗。可愛いのはいいけどそろそろ準備を再開しなければ...。しかしこの子どうするんだー!)
すると不意に可愛らしいお腹の鳴る音が柚斗の葛藤を遮る。
「...朝飯食べる?」
柚斗の問いに女の子は、小さく頷く。
そうと決まれば朝飯の準備だ。柚斗は女の子にリビングにあるテーブルの席についてるよう言うと、トースターで食パンを焼き、焼きあがるまでの間にベーコンエッグをフライパンで焼いてしまう。
「よし、出来たぞ~」
焼いた食パンにベーコンエッグを乗せただけだが、朝パッと食べる分にはこれくらいがちょうどいいだろう。女の子の向かいに柚斗は座り、手を合わせる。
「いただきます!」
「い、いただきます!」
女の子は慌てて手を合わせて言う。
ここで柚斗はいくつか質問をしてみることにした。
「そういえばさ、名前はなんて言うの?」
すると、女の子は少し暗い顔をして言う。
「...わかんない」
「え?」
(どういうことだ?わかんないって自分の名前だぞ...?)
「えーっと、わかんないっていうのはどういうことなんだ?」
「なんかね、きがついたらここにいたの。それよりまえのことはおもいだせないの」
(うーん?つまり記憶喪失ということなのだろうか。第一俺のとなりにいた意味がわからないし...)
あんまり問い詰めるような感じになっても怖がらせてしまうだけだろう。以前のことはまた今度考える事にしよう。でも名前がないというのもかわいそうだし...。そこで一つ提案をすることにした
「なあ、もし良かったら記憶が戻るまでの名前、決めないか?」
すると女の子は口の中のものを飲み込んでから目を輝かせる。
「ほしい!わたしのなまえ!!」
「あんまり期待するなよなー?」
「うん!」
あ、これは期待が重いやつだ。そう感じた柚斗は少し苦笑いをしつつも、候補を挙げていくことにした。
謎の(ry
みなまでは言いません。ちなみにこの纏刻ノ世界-テンコクノセカイ-はお話の本編的な内容となってます。つまりどういうことかというと、そういうことです(ノ∀`)
*誤字・脱字については報告して下さるととてもありがたいです