精霊の心-10-
どうもお久しぶりです。
いやはや、9月ももう終わりですね!(これを書いている時はまだ9月だった)
投稿が遅くなってしまい申し訳ないです。理由としては新たにはまってしまったゲームと、特に念入りに行った添削、そしていつも通りネタ集めに時間を割き過ぎてしまったからです……。
あとあれです……やっぱりなんでもないです。
別に小説書きたくないわけではないんですよ?書いている時は楽しいですしおすし。
今回は物語のウエイトが重かったんですよ……言い訳です、すいませんでした。ハイ。
ま、まあ今回は6000文字弱あるんで楽しんでくださいね!
*岡の気苦労その2
赤レンガで造られた大きな建物、異の門を管理する部屋がこの中にある。既に日は沈み、辺りを照らすのは趣きのある街灯と、綺麗な月明かりのみとなっていた。赤レンガの建物には、岡一人しかいない。そもそもこの建物は一日五回、警備員が見回りに来る以外、立ち入る者はいなかった。
「警備員が倒された……わけではないか」
てっきり見回りに来た警備員を襲撃してるのでは?と思ったのだが、どうやら会わなかったか、上手くやり過ごしたらしい。
いや、それは少し違和感がある。
五回も見回りに来る警備員に会わない。
(さっき異の門を動かした時間的に警備員が見回りに来るタイミングだ。いや、正確には動く五分前くらいか……)
もし偶然だとしたら随分と運の良い奴だ。侵入者の悪運の強さに、思わずため息を漏らす岡。しかしその態度とは裏腹に、頭をフル回転させて、違和感の原因を突き止めようとしていた。
(警備員が見回りに来るタイミングと僅かにズレていた理由……いや待てよ、警備員が出てから五分で操作出来るほど異の門に早く接続することなんて出来ない。ってことは警備員と遭遇していなきゃおかしくないか?)
なるほど、分かった気がする、と岡の中でそう確信めいたものを得た時、背後から足音がした。
「誰だ」
岡が振り向き冷たく言い放つと、足音の主はすぐ岡の前に姿を現した。
「いやあすいません、驚かすつもりは無かったのですが……」
足音の主は、入学式前に式の始まる時間を伝えに来た教員の男だった。
「えーと、あんたは……」
名前が出てこない岡を見て教員の男はクスクスと笑い、自己紹介を行う。
「やだなぁ岡先生、高野ですよ! た・か・の!!」
「あはは、高野先生ね。すいません、あまり名前覚えるの得意ではなくて……そういえば朝は助かりましたよ、ありがとうございます」
「いえいえ、あれで良いのならお安い御用ですよ〜!」
岡と高野はしばらく笑い合い、岡は頭を掻いて高野は腕を後ろに組んでいた。
二人笑い合っている中、突然岡は高野を睨みつける。
「で、その後ろに隠しているのは口封じの武器か?」
高野は笑みを崩さず、むしろ口が裂けそうな程に、より大きく気持ち悪い笑みを浮かべて答える。
「流石は岡先生。いや、纏刻の英雄と言った方がいいかな?」
チッ、と高野にも聞こえる程に大きく舌打ちをする岡。
「それを知っているってことはお前なんだ、その手の悪の組織的なやつか?」
高野は目を見開き、左手で顔を覆いながら体を仰け反らせ大きく笑う。
「悪の組織的なやつ、ですか。いいですねぇ英雄なんて綺麗な肩書きにはふさわしくないその言い方!! 貴方の適当な感じ、私は好きですよ!」
高野が喋り終えた瞬間、高野は建物の外にいた。否、高野が視認できない程の速さで、岡に外まで殴り飛ばされていた。
「グフッ!? 正義の味方とは思えないこの不意打ち、それも嫌いじゃないですよ!」
起き上がる高野の前に立っている岡の目は、怒りや殺意の籠った鋭いものだった。
「答えろ、お前が犯人なのか? それと別に俺は……正義の味方なんかじゃねぇ」
それを聞いた高野は歪んだ笑みを浮かべて嬉しそうに語る。
「そうですよねぇ、貴方はあくまで自分の事しか考えてない。僕とは大違いですよ。それで、そんな貴方があのガキどもに何を入れ込んでいるんですか?」
ガキ、とは柚斗達の事だろう。何故二人……三人に拘るか、高野はそう言っているのだ。
「そんなことどうでもいい、犯人はお前か?」
高野は困った顔をして、大きくため息をつきながら言う。
「全く、せっかちな人ですねぇ……ええ、そうですよ。私が貴方の生徒を飛ばしてやりました」
空気が変わる。辺りを殺意がぶつかり合う、ドロドロとした緊張感によって支配している。
「なら決まりだ。二度と俺の前に出てこない奴にする話じゃねえな」
高野はもう一度笑みを作り、再び後ろに手をかける。
「おやおや、危ない英雄だ……」
次の瞬間、高野の右手には雷を纏った白に金の装飾が施されている大槌が握られ、岡の左側から思いっきり大槌を薙ぐ。
一体どんな魔法を使ったのか。高野の握る大槌は、明らかに人の後ろに隠せるサイズのものでは無い。そもそも岡が蹴り飛ばした時には持っていなかった。大槌が出てきた魔法は分からないが、何にせよ岡はここで高野を撃破し、理事長にも立ち会ってもらい、高野に対して尋問を行う必要があった。そして岡は、たった今振るわれた大槌を処理する必要があった。
振るった大槌が岡を肉片に変えるより速く岡はしゃがんで避ける。
大槌に振り回されている高野をそのまま蹴り飛ばし、一旦距離を取ろうとする岡だったが、左手に逆手で純白の短剣が握られているのに気付き、慌てて防御に出る。
「-顕現-緋天・紅刃」
溶岩のような色をした刃を持つ、紅刃。火の属性を持つ短刀だが、刃は短く、短刀の形をしたナイフのような感じだった。
紅刃でなんとか純白の短剣を防ぐが、岡は体勢を崩され、大槌の追撃が飛んでくる。
大槌を正面から紅刃で受けた岡は、衝撃が強すぎて骨の軋む音がした。紅刃の上から岡を二十メートルほど吹き飛ばすような強い一撃。
「……痛ってぇな畜生が」
岡は体を起こし、歩いて迫ってくる高野を睨み付ける。高野は相変わらず気色の悪い笑みを浮かべていた。
迫りくる高野を前に、紅い短刀を握り直そうとする岡だったが、手が痺れて思うように動かなかった。
しかも今の高野の動きから、高野が相当戦い慣れている可能性が高い。殺す事にも躊躇いのないところから、少なくとも自らの手で人を殺めたことがあるのだろうと推測出来る。
「いやぁ、僕としては今ので殺ったつもりだったんですがね。やはりあそこで顕現魔法を冷静に使われてしまうとは、英雄様も実戦経験豊富そうですねぇ」
高野は嬉しそうに岡を褒める。敵を褒める、嬉々としてそんなことをする気色の悪い笑みを浮かべた奴らがどういうふうに呼ばれているか知っていた。
「戦闘狂が……」
岡の前で立ち止まった高野は、岡の言葉を合図に大槌を構え、躊躇なく岡へ振り下ろす。
しかし大槌はまたも岡を肉片に変えることが出来なかった。それどころか、岡は地面に座ったまま無理矢理痺れた腕を動かし、紅い短刀を大槌へ突き出している。その短刀を握る手は、痺れのせいでほとんど力が入っていない筈だが、大槌は刃先に触れてから微動だにしなかった。
「高野、お前から聞きたい事は色々あるけどよ」
紅刃の触れた部分から大槌にヒビが入り、瞬く間に形が崩れていく。
そして、
「俺の生徒達にちょっかい出してんじゃねえよ」
一瞬、音が消えたような感じがした。
そして次の瞬間、大槌を持っていた高野の右腕は紅い華を咲かせてこぼれ落ちた。
「!!!??な、何をした貴様ァァァ!!」
あまりの激痛に顔を歪ませ、右腕の切り口を左手で抑えながら膝をつく高野。岡は立ち上がって高野の髪を掴み、無理矢理に顔を上げさせる。
「お前のその行儀が悪い右腕をしつけてやったんだよ」
ヒッ、と情けない声を上げ、高野の顔は恐怖で染まる。
「お、お前は英雄なんかでは無い……怪物だ!!」
岡は掴んでいた髪を離し、紅刃の柄で高野の後頭部を殴って気絶させた。
「言ってることがいちいちがモブ臭いんだよ、お前。言ってんだろ、俺は正義の味方でも英雄なんかでもねえよ」
再び高野の髪を掴み、引きずっていく。切り落とした腕を取って、医務室へ向かった。
気が付けば岡が持っていた紅い短刀はどこにもなかった。顕現魔法によって現れた武器は必要が無くなればその実体を無くすことが出来る。
「やっぱり顕現魔法は荷物が多い時にかさばらなくて便利だな、っと」
(こいつは強さからして恐らく使いっ走りの下っ端ってところか。そうすると柚斗達を戻すのは親玉叩いた後にした方がいいだろうなぁ……)
下っ端の尋問、黒幕の捜索、柚斗達の安否……岡の気苦労はまだまだ絶えなそうだ。人を引きずった血痕を残しながら歩いている為、学園の敷地が赤く染まっていく。
理事長にも叱られそうだと、多方面からの気苦労に、逃げ出したくなる岡だった。
*舞い続ける雪
今、柚斗達は二つの問題に直面していた。一つは、自分達がどこにいるのかよく分からないということ。この問題は、しばらく歩いて草原を抜け、山を下ったところにアスファルトで舗装された車道らしき道があったので、その車道に向かって歩いている。もう一つは、先程から妙に肌寒いのだ。しかも柚斗に近ければ近いほど寒い……気がする。結那は先程からしばらくは気にしないでいたが、寒さ対策なんて言えそうなものは、制服のブレザーとストッキングくらいなものだ。胡桃も結那と服装はほぼ変わらない筈なのだが、寒がる様子はない。それどころか大変な目に遭ったというのに結那と繋いだ手を振り回して……無邪気とは時に罪深いかもしれない。とにかく結那は謎の寒さに参っていた。
「ねえ柚斗、やっぱり冷気……というよりもう寒波だけど……とにかく寒いのー!」
「そうか?」と柚斗は少し後ろを着いてきている結那の方を向く。すると、柚斗の額に流れる汗が凍って張り付いているのが結那にはよく見えるのだが、まあどうせ本人は見えないし気付いていないだろうから指摘してあげることにした。
「柚斗、汗凍ってるけど?」
言われた柚斗は、そんなわけないと言いたげなにやけヅラをしながら己の額に触れる。すると、冷たくて固い汗の存在に気付き、表情が凍る。
「え、本当に俺だったの?」
「そうって言ってるでしょー!!」
結那は若干怒鳴り気味になりながら、柚斗の汗と周りの水分が凍って固まったツンツンな髪を手で叩き、サクサクと潰して遊んでいる。胡桃も隣で遊びたそうな顔をして、柚斗の髪が弄ばれる様を眺めていた。胡桃の支線のに気が付いた柚斗は、結那の真似をしないように指でバツを作り、やってはいけないとアピールをする。
それにしても、と柚斗は髪をぐしゃぐしゃにされるのを無視して考える。
(本人も気付かない内に体から冷気なんて出るか? というかそもそも魔法や精霊の類いでもない限り体から冷気自体出ないぞ……たぶん)
反応が無くなり飽きたのか、いつの間にか弄るのを止めていた結那が顔を覗いてくる。
「なに、心当たりでもあるの?」
そう言われ柚斗は「うーん」と唸り、顎に手を当てて考えた。結果、思い出した二つの出来事を挙げてみる。
「心当たりっていうか、まあ非日常だよなっていうのは二つある。一つは胡桃のこと。もう一つは昨日の事なんだけど、スーパーに寄った帰りに変な女の子がいたんたが、さっき着地する直前に聞いた声と似てた気がして……」
結那は先程の柚斗のように、顎に手を当てて考える。
「そっか、私だけじゃなかったんだ……気のせいかと思ってたけど。じゃあ仮にその変な子が人間じゃないとして、なんだと思う?」
「……まあ、幽霊とか?」
割とテキトーに答えた柚斗だったが、意外と合ってるんじゃないかとも思っていた。なにせ声はするのにどこにもいないのだから、少なくとも普通の人間ではないだろう。
結那は一向に止まない冷気に身を震わせながら、本当に他には誰もいないのか確認する。胡桃にも確認してもらうが、もちろん誰か居たりなどしない。しかし柚斗から溢れる冷気はやはり異常としか思えなかった。
そんな調子で柚斗達は話ながら歩き、高原から覗いていたアスファルトの車道に随分と近付いたのだが、未だ人気はない。見知らぬ地に来て誰とも会わないというのは不安だったが、不幸中の幸いと言えるのは、落ちた場所が三人とも同じだったことだろう。とは言え、今いる場所がどこか分からないことに変わりない。
(アスファルトで舗装されていようと何か事態が良くなる訳でもないし……)
そう結那がため息と共に俯いた時だった。
結那の目に、冷気を引き起こしているものが見えた。宙に舞う特殊な形をした白くて冷たいもの。つまり、雪の結晶のようなものが見えたのだった。そうなるとあと一つ、結那は柚斗に聞きたいことがあった。
「ねえ、もしかしてその変な女の子に会ったとき雪とか降ってなかった?」
柚斗は驚いて思わず結那を見た。つまり当たっていたというわけだろう。
「柚斗、変な女の子とこの冷気の……いいえ、雪の正体がわかったかもしれない!」
柚斗と胡桃は全く見当も付かず、キョトンとした表情で結那の顔を見ている。結那も二人の顔を見て、そしてにこりと笑った。
「ねえ、中に居るんでしょう、幽霊さん?」
「「へ?」」
柚斗と胡桃の声が重なった瞬間、柚斗が纏っていた雪を含む冷気は、柚斗達の前に集まり始め、人の形になった。
「幽霊じゃないです、精霊です!」
柚斗は息を呑んだ。その精霊を自称した女の子は、長い髪も、肌も、着ていたワンピースも何もかも白かったのだ。唯一、瞳の色は水色に近かった。
そう。
昨日、神社で出会った時のように。
ヒャッハー!!狂ってる系敵キャラのご登場だァ!!
と、いうことで。
最近友人に教えてもらいましたが、一気に複数の話数を投稿すると一気に人気が上がるとかなんとか。
へっへっへ!私には出来ませんねぇ!!
しかし気が付けば精霊の心編も10話!長かったですね!まだまだ続きますけれども!
一応スローペースながらも1年近く連載しているとある悩みが出てきまして、小説のサブタイがこれでいいのか!と……。
かといって今更変えるのも違うような気がしますし、人間は難しい生き物ですね(泣)
そんなこんなで超強力な台風直撃を受けて凄い風の音にビビりまくっている中投稿しました!
次は天気が良くて早めに投稿したいところですね!定期更新とかにした方が習慣になっていいんですかね~。
ではまた近いうちにお会いしましょう!
Twitter:@kannagi1414
*誤字・脱字等報告していただけると大変助かります。




