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異世界転生アンチーレム  作者: MUR
第3部 魔法究明編
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第51話(3-11) ランドはどこにある?

 旅に出る前に巨大ネズミの討伐をすることになったキリヤ。仲間を集めるべく唯一の心当たりであるエルシレーヌに相談を持ちかけたのだが……

「無理ね」


「なんだと……」


 開口一番、断言された。


 ここは城の特別区画、エルシレーヌに相談を持ちかけた結果、このザマである。


「理由は二つある。奴らは疫病を運ぶ、もし噛まれたら致命傷になる。もう一つは大軍で襲ってくる習性だ。二人での探索など自殺行為だ」


 驚いた。


『ネズミと言えばペスト(黒死病)が有名である。これはネズミ等に流行した後、ノミがそうしたネズミの血を吸い、その次に人の血を吸うことで刺し口から菌が侵入したりして感染する。昔は高い致死性を持っていたことや皮膚が黒くなることから黒死病と呼ばれて恐れられていた。過去の流行で人口を激減させたこともあるヤベー奴である』


「こちらの世界でもそういった医療系の知識はあるのか」


「何を言ってるの?」


 怪訝そうな顔でこちらを見られた。


 慌てて取り繕う。


「もし本気で攻略するとしたら、どうすればいい?」


「そうね……。最低でも盾役として前衛二人、すぐ入れ替わる交代要員として中衛二人、後方警戒として後衛二人の六人パーティが最低条件でしょうね」


 涼しげな顔でお茶を楽しみながらエルシレーヌが告げる。


「もちろん全員ガチガチの装備が前提ね」


「そうか……。もし戦闘を避けて偵察だけを行うとしたら……」


 エルシレーヌがこちらをカップ越しに一瞥して引き継いだ。


「私達二人でも可能でしょうね、奴らの巣を見つけるだけなら」


「ありがたい、早速準備に入ろう」


「強引な人ね」


 というわけで、まずは二人で偵察を行うことになった。


 甲冑を二組受領して身につける。かなりの重量があり、身体強化を使わなければ動くのは難しい。それにも関らず、エルシレーヌはテキパキと鎧を装備していく。


「重くないのか?」


「あまりエルフを舐めないでちょうだい」


 城には大規模な噴水が設置されており、そこから地下下水道へ大量の水が流れ込んでいる。もちろん整備用の道路も水の流れに沿うように設置されている。半円を描いたアーチ状の入り口がぽっかりと口を開けているのだ。


「行きましょうか」


「了解」


 ガシャガシャと鎧を鳴らしながら暗闇へと進む。それぞれ松明を持ってはいるが、その明りだけでは何とも心細い。


 しばらくすると別の支流とぶつかった。


「どちらに進む?」


「親玉のネズミは相当の大きさだと言っていたな。それなら巣穴も相当の広さが必要なはずだ。合流した太い方へ進んでいけばいい」


 なるほど、と思いながらエルシレーヌの言葉に従う。


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