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異世界転生アンチーレム  作者: MUR
第1部 旅立ち編
3/53

第3話 少女と旅に出るけどロリコンじゃないです

 さて、話は俺の転生から半年飛ぶことになる。

 半年の間、偶然助けた少女、アンリの村に居候したり、村を襲ってきたオオカミを撃退したり、略奪に来た野党を返り討ちにしたり色々あった。

 どれも結構ギリギリ、悪戦苦闘だった。


 よって全カット。


 まぁ、初めて動物を殺した衝撃とか、正当防衛とはいえ人を殺害してしまった葛藤とかあるのだが、それはまた別のお話。


 有り体に言えば、この世界に慣れたのである。


 そのおかげでいくつかのチート能力を把握、駆使できるようになった。

 

「キリヤー! そろそろ帰ろうよ」


 アンリが畑の縁から、俺を呼んでいる。

 そのおてんばぶりに若干あきれながら返事をする。


「すぐ行くから、大声だすな」


「わかった、待ってるー」


 アンリは大声で応える。

 絶対分かってないだろ。


 俺はドラム缶ほどの籠を背中に背負い立ち上がる。

 中には芋(じゃがいもによく似ている)が山盛り入っている。

 それを溢さないように畑の畔道へと向かった。


「遅いー」


 あぜ道でアンリが急かす。


「中身がこぼれてもいいのか」


 たしなめると舌をペロッと出しながら、


「お父さんに怒られるからそれは困るな―」


 と言って、道を並んで歩きだす。

 大体アンリは俺の十分の一ほどしか運んでいない。


「キリヤはホントに力持ちだからね」


「あぁ、頑丈に出来てるからな」


 実はこれもチート能力の恩恵だったりする。

 成人男性の2~10倍まで力を自在に制御することが出来るのだ。

 

「また肩車してね」


 無邪気に頼んでくるアンリ。


「ダメだ」


 即、拒絶する。


「いいじゃん、ケチ―」


 不満をあらわにするアンリ。


「お前11歳だろ、そういうのは卒業だ」


 アンリはちょっとというか、かなり頭の中がお花畑なのだ。

 だいたいこの世界では13~18までには、結婚して子供を設けるのだ。

 助けたせいで変に懐かれてしまった。俺が原因の一端かと思うと何故か罪悪感を感じてしまう。

 

「ただいまー」


 アンリは帰宅を元気に告げた。

 俺が入りやすいよう扉をささえて開けてくれている。

 こういうとこは可愛いのに。

 ちなみにロリコンではない。


 夕食後、アンリの父親、家長が俺にある提案をしてきた。


「アンリを連れて街に旅してはどうだろうか」


 ちなみに、街までの旅費だけは出してくれるが、そこから先は自分で何とかしてくれ、ということだ。そう語る父親から含まれた意図を、俺は察した。

 薄情な気もするが、この家の厳しい家計事情を考えるとこれでも、大出血だろう。

 ここでカントリーライフを続けても、糸口を掴めないのも確かだ。

 

「アンリはそれでもいいのか」

 

 一応意思確認してみる


「うん、初めて街に行くの楽しみ―」


 やはり頭が残念な娘だった。ずっと前から街に憧れてたのはいいが、いくらなんでも軽すぎないか。


 こうして三日後、アンリと俺は旅立つことになった。

 この辺境の村から一番近くの街まで二週間はかかる。


 持ち運びできる粗末なテントと寝具、簡単な調理器具と食器類、長期保存可能な食糧をやたらでかい袋に詰める。


 ちなみにやはり持つのは俺だ。アンリには被服などの出来る限り軽いものを任せた。アンリは身軽ではあるが、身長も低く、大きくて重い荷物を任せることはできない。



 三日後。

 


 旅立ちの日。


「おみやげ楽しみにしてねー!」


 最後まで能天気なアンリ。


「お世話になりました、このご恩は絶対に返しますので」


 アンリの両親と兄、姉、弟の5人に深々と感謝を述べ、早くも先行しているアンリの元に急ぐ。

 

 こうして俺の旅は始まったのだ。




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