第27話(2-15) スパルタ式防衛戦 その二
このペースだと6パートは必要になる……
ソルティドギィに迫るオーガの大軍、その数、二万。
「さて、絶望的だな。どうする?」
俺は半ばあきらめながら聞いてみた。この街の守備兵は1500程。
十三倍以上の戦力差。
「領主殿?」
「……」
絶句して気が遠くなっているようだ。
へんじがない。
「失礼します」
突然ヤシマがつかつかと近づくと懐から謎の小瓶を取り出した。
止める間もなくそれをド・ゴールの口に流し込む。
「ブホッ、ゲホゴホ」
ド・ゴールはそれを飲むや否や吹き出した。
「大丈夫でございますか? こちらをお使いください」
すかさずタオルを差し出すヤシマ。
「おお、かたじけない」
酷いマッチポンプを見た。
「それでどうするんだい?」
少しいらつきながらベルが聞いてきた。
「至急守備兵を各門へと配置、防御を固めて籠城の準備を開始しろ!」
「待ってくれ!」
俺は会話に割って入った。
「それだと遅かれ早かれ陥落してしまう」
「帝都からの援軍到着まで耐えるしかないと思われますが?」
ド・ゴールに反論される。
「前回の戦いから修復が終わってないんだろう、それでは持たない。ここは打って出るしかない」
「それこそとんでもない! 兵力差は1500対20000なんですぞ。まともにぶつかれば半日も待たないですぞ」
「確かに平野での正面衝突ならそうなる。だが峡谷でならどうだろうか」
俺は地図を広げて峡谷を差し示した。
ソルティドギィの街からそう遠くない位置に敵が進軍してくる峡谷がある。
「峡谷の幅に展開できる人数は50人が限界だ。ここなら敵を足止め出来る」
「確かに……ですがそこを抜かれればもう……」
「一刻の猶予もない! 守備兵の内1000を馬を使って峡谷へと運ぶんだ」
知らん間に仕切ってしまった。
……。
峡谷入り口にて。
「誇り高き兵士たちよ!」
ド・ゴールが言った。
「今、我々は再び滅亡の危機に瀕している!この峡谷の向こうからオーガの大軍が押し寄せてきているのだ!」
その言葉を聞いて、整然と並んだ隊列に動揺が走る。
そこかしこで、「もうだめだぁ、おしまいだぁ」とか「オークよりオーガは強いらしいのにどうするんだよ」とか「短い人生だった……」、みたいな諦めが聞こえてくる。
「帝都からの援軍はまだなのか! 俺たちに死ねと言うのか!」
一人の兵士が悲痛な抗議をあげた。
「確かに未だ援軍は来ない、我々は今日ここで倒れるかも知れない……」
ド・ゴールは気休めを言わずに認める。
「だが、我らが戦わなければ街に残してきた我々の家族、兄弟、友人は殺戮の憂き目にあうだろう。我々は何故軍人となったのだ? 生活のためか? 名誉のためなのか? 否、断じて否。大切な人を守るためではなかったのか!?」
領主の熱弁に動揺が静まってゆく。
「確かに今日我らは息絶えるかもしれない。けれども、大切な人を守る為に戦う、それが我らの誇りなのだ。蛮族どもにやすやすと汚されたりはしない!」
「奴らに帝国軍人の生きざまを見せつけるのだ!」
ここでド・ゴールと入れ替わりに俺が前へと出る。
「前回俺たちは絶望的な状況から勝利した! そして、今回も俺が必ず勝利をもたらそう! この剣に誓って!」
俺はドラゴンファングをスラリと抜き放ち高々と掲げた。
刀身から光があふれ出る。一種の神々しさがその場に充ちた。
「我らに勝利を!」
俺は声高に再び宣言した。
一斉に武器が掲げられた。
「我らに勝利を!」
凄まじい雄たけびが峡谷を震撼させた。
予定を変更して明日書き溜めて投稿します。
やはり、いつも通り下書きすべきだった。
すみません。




