第16話(2-4) 新たなる出会い、新たなる別れ
バンッ。
俺は勢いよくエダとアンリのいる部屋のドアを開けた。
「大丈夫か!?」
最悪の事態を覚悟しながら中へと駆けこむ。
……。
そこには酔っぱらいがいた。
「ガハハハ。飲め飲め、ヤシマ」
「エダさん。飲みすぎですよ、ウフフフ」
「エダとヤシマ、顔まっかー」
おい、アンリには飲ませてないだろうな。
エダとヤシマはかなり出来あがっていた。
「おう、話は終わったのか、キリヤ」
エダが酒臭い息で話しかけてくる。
ホントのことを言うのも馬鹿らしくなった俺は適当に合わせることにした。
「ああ、謝礼も貰ってきた」
許可証の羊皮紙と指輪をこっそり荷物にしまいこみ、金貨の入った木箱だけをエダに見せようとする。
「ああ、そんなの後でいいから、とりあえずお前も飲め飲め」
エダはラッパ飲みしていた酒瓶を渡してくる。
俺は仕方なく受け取り、グイッと一口飲んだ。
「いい飲みっぷりです、キリヤさん」
ガラにも無くヤシマまでもが煽ってくる。
「キリヤ、すごーい」
アンリも便乗して騒ぎ出した。
「よーし、飲みまくるぞ!」
エダが新しい酒瓶の栓を抜きはじめた。
……。
俺が覚えているのはここまでだった。
気がつくと翌朝、もっとも昼近いのだが、になっていた。
俺はガンガンする頭を押さえながら周りを見た。
ヤシマの姿はもうない。
おそらく館の仕事だろう。
昨晩遅くまで起きていたはずなのに、いやはや凄いプロ意識だ。
ふと俺はあることに気づいた。
エダの姿も見当たらないのだ。
トイレにでも行ったのかな。
不審に感じてあたりを注意深く観察すると、ベッドの上に小さな木箱が乗っていた。
昨日、領主代行のジャンヌから受け取ったものだ。
中には討伐報酬の金貨二十枚が入っている。
ほったらかしで寝てしまったのか。
手に取るとカラカラ音がした。
「?」
違和感に気づいた俺は蓋をあけてみた。
中には紙切れと金貨一枚しか入っていない。
嫌な予感、むしろ確信に近い何かを浮かべながら俺はその紙切れを開いた。
『キリヤへ、急用が出来たのでお前とはここで一度お別れだ。金貨は授業料としてもらっておく。貸しているナイフは免許皆伝の証として受け取ってくれ。
かならず、お前を殺しに行くから、それまでに強くなっておく様に。
黄昏のフクロウ 頭目 エダ 』
「ふざけんな!」
俺は勢いよく紙を丸めて叩きつけた。
なんという脇の甘さだ。
「どうしたのキリヤ?」
俺の騒ぎでアンリが目を覚ましたようだ。
「キリヤ! 見てみて!」
突然大声を上げるアンリ。
何かがパカン、と割れる音に続き、キューという鳴き声が聞こえてきた。
振り返るとアンリがヒヨコを数十倍の大きさにしたような物体を抱えている。
満面の笑みだった。