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私達の空にさよならを  作者: @
学園編
6/19

5話 入学式(前)

 

 高校へと向かう坂道

 道端に積もった桜の花弁と

 新しい季節の風は、私の心を弾ませて

 高校の入学式を実感させる。


 期待の表情を浮かべる生徒や、

 友達同士仲良く喋りながら歩く生徒たち。

 車の通行が少ないため

 生徒たちは自由に道路に広がって、

 中には悪ふざけしながら歩く生徒たちもいる。


 そんな生徒たちに混じって、

 私は親友の優華(ゆうか)に腕を掴まれながら、

 優華(ゆうか)に笑顔で喋りかけている


「ふふ、もう優華(ゆうか)。そんなに腕を掴むと

 歩きづらいよ」


「ごめんね、やっぱり不安で堪らなくて」


優華(ゆうか)、ちゃんと前を向いて歩かないと、

 つまずいて転んじゃいそうだよ」


「お願い漓霧(りむ)、もう少しこのまま一緒に歩いて」


優華(ゆうか)が転んじゃうと私まで転んっ!」


 バタッ


 私が言葉を言い終える前に、

 優華(ゆうか)が転んで、

 私は優華(ゆうか)に引っ張られる形で

 一緒に転んだ。


漓霧(りむ)ごめんなさい! ホントにごめんなさい!」


 優華(ゆうか)は泣きそうになりながら謝ってきた。


 やっぱり転んじゃった。

 入学そうそう二人で転んじゃうなんて、

 なんかコントみたいで私はつい笑っちゃった


「あはは、私が言い終える前に転んじゃったね。

 優華(ゆうか)? ケガとかない?」


「私は大丈夫。

 ・・・・・・はぁ、私何やってんだろ。」


「ほらほら優華(ゆうか)

 また朝迎えに行った時と同じ顔をしているよ、

 せっかくの入学式なんだし明るくいこうよ、ね?」


 私はそう言って、自分の頬を引っ張った。

 たぶん変な顔になってるかな?


「ぷっ! もう漓霧(りむ)。変な顔になっているよ」


 あっ、やっぱりなってたみたい。

 でも優華(ゆうか)が笑ってくれて良かった。


「ほら優華(ゆうか)、立って」


「うん」



 親友の優華(ゆうか)に手を差し伸べて、

 私達はまた手を繋いで、高校へと歩いていく



 ー




 高校に到着して、私たちは新入生の案内板に従い

 構内を進んでいく。

 歩いていた先に

 何やら新入生たちの人だかりができていた。


 あっ、クラス分けの掲示板ある

 みんなこれを見ていたんだ。

 優華(ゆうか)と一緒のクラスになれるといいなぁ。

 でも、ここからじゃちょっとみえにくいし、

 ちょっと前に行かないとみえないなぁ。


「ねぇ優華(ゆうか)、クラス分けの掲示板があるみたい。

 ここからじゃちょっと見えづらいから、

 もう少し前に行こう?」


「ううぅ、漓霧(りむ)と一緒じゃなきゃどうしよう」


 優華(ゆうか)はそう言って私の手を強く握ってきた。


「もう、優華(ゆうか)そんなに手を強く握ったら手が痛いよぉ」


漓霧(りむ)お願い! 私の代わりにクラス分け確認して」


「わかったから優華(ゆうか)、もう少し手の力緩めて。

 それと、もう少し前に進もう? ここからじゃ、

 わかり難いから」


「うん」


 私たちはクラス分けの載っている掲示板の方へ進み、

 私は掲示板に目をやった




 _



優華(ゆうか)、確認できたよ」


「・・・・・・」


 優華(ゆうか)に言葉がなかった。

 ずっと下を向いたままだ。

 よっぽど不安なんだろうな、


「じゃあ教えるね」


「・・・・・・うん」


「・・・・・・優華(ゆうか)、良かったね!

 一緒のクラスだよ!」


「よ、良かったああぁ」


 優華(ゆうか)は凄く喜んだ。

 私も凄く嬉しい、また一緒のクラスでいられる。


漓霧(りむ)ーー!」


 優華(ゆうか)そう言って繋いでいた手を離して、

 私に抱きついてきた。

 今日の朝も抱きつかれたけど、

 今回は朝のとは違ってた。


「ーーーーー!」


 私は声を出せなかった。

 だって優華(ゆうか)の腕が私の首を力一杯ホールドして

 絞めている。


 ・・・・・・お願い優華(ゆうか)気づいて!

 い、息が、息ができないの!


 私は手でバタバタと優華(ゆうか)の腕を叩いて、

 声の代わりに知らせようとしたけど・・・・・・

 気づいてくれない。



 意識が遠くなりそうな頃、

 やっと優華(ゆうか)が気づいてくれた。

 優華(ゆうか)は、パッと私を解放して

 両手を合わせて謝ってきた。


「ごめんなさい漓霧(りむ)! 私凄く嬉しくて!

 その、つい漓霧(りむ)のこと気づかなくて!」


「もう! 入学そうそう親友に、

 首を絞められて死ぬかと思ったよ!

 そんな死に方だけは嫌だよ!」


「ホントにごめんなさい! だから嫌わないで!

 一人にしないで! お願い漓霧(りむ)!」


 優華(ゆうか)は泣きながら私にすがり付いてきた。


 実は私はそんなに怒ってないんだけどね。

 朝、ヘアブラシで優華(ゆうか)

 襲いかかって謝ってた時、

 優華(ゆうか)にちょっと意地悪されたから

 その仕返しって思ったんだけど。

 ちょっと言い過ぎちゃったかな。


「もう、そんなに怒ってないから大丈夫だよ。

 それに、せっかく一緒のクラスになれたんだし、

 明るく笑っていようよ」


「そうだよね、せっかく一緒のクラスになれたのに、

 泣いてたらいけないよね」


「そうだよ、泣いてたらもったいないよ」


「ありがとう、漓霧(りむ)


 私は持っていたハンカチで

 優華(ゆうか)の涙を拭いから、

 優華(ゆうか)と一緒に入学式の会場へと向かった







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