3話 優華を迎えに
入学式の朝
私は自分の部屋で、
ヘアブラシを片手に鏡の前にいた。
親友の優華を早めに迎えに行きたいのに、
なかなか上手く髪型が決まらない。
朝早く起きて準備してたけど、
思ったより時間が掛かっちゃった。
やっと髪型が決まった頃、
私は部屋の時計を見た。
「あっ! もうこんな時間だ!
優華を迎えに行かなくちゃ」
私は急いで部屋を出た。
「ママ、優華を迎えに行ってくるね」
私は台所にいたママに声を掛けた
「璃霧? 髪型変えたの?」
「そうだよ。ママどうかなぁ? 変じゃない?」
「凄く似合っていて、可愛いわよ。
少し大人びた(おとなびた)感じだわ」
「ありがとう、ママ。私も今日から高校生だし、
大人な感じにしたかったの」
髪形をママに褒めてもらって、私は凄く嬉しかった。
ママはいつも私に凄く優しい、
だから学校からよく泣いて帰った頃の様に
もう心配を掛けたくない。
私はママのためなら明るく元気でいられる。
「ママ、私そろそろ優華を迎えに行ってきます」
「いってらっしゃい、入学式楽しみにしているわ」
私はママをそっと抱きしめて
「はい、いってきます」
私は自宅を出て、優華の家に向かった。
優華の家は、私の家から
二十分くらい掛かる
私は腕の時計を見てから少し早歩きで、
優華の家へ向かった。
私は歩きながら考え事をしていた。
それは今日、優華を綺麗な女の子の格好にさせて
入学式へ連れて行くこと。
優華はいつも前髪で眼を隠していて、
長い髪だって独特のくせっ毛のせいで
ボサボサした髪形をしてる。
だから私は過去に何度かヘアブラシで髪を解こうとしたら、
優華にやめてって言われちゃった。
あと、前髪も少し触って
隠している眼を見えるようにしようとしたら、
しばらく口を聞いてくれなかった。
優華は自分の眼に、凄くコンプレックスを持っている。
中学の時、友達から言われた悪口と
友達からの冷たい視線のせいで、
前髪で眼を隠すようになった。
その時の私は、優華から理由聞いて凄く謝った。
優華は怒ってないよって、言ってくれて
私を赦してくれた。
ただ、優華は中学の時の友達のように
私に嫌われるのが怖かったみたい。
そんな優華をどうやって
綺麗な女の子の格好にさせようか
色々考えていたけど、
いい方法が見つからない。
今日は、どうしても優華に
綺麗な女の子の格好をさせたかった。
優華にも私が小学生の時の様に、
自分を変える良いきっかけにしてほしかった。
優華自身変わっていけば友達もきっとできて、
高校生活だってきっと楽しくなる。
それに、優華は綺麗な女の子だ。
優華の顔の作りは丁寧で整っている。
眼だって凄く綺麗で大人っぽい感じだし、
スタイルだって凄く良いのにもったいない。
だから私は今日、優華を綺麗な女の子にして
入学式へ連れて行く、
でも良い方法が思いつかない。
そんなことを考えている内に優華の家に着いた。
ピンポーン
私は優華の家のインターホンを鳴らした。
「はーい」
「おはようございます、おば様。優華を迎えに来ました。」
「璃霧ちゃん? ごめんね、
優華まだ準備出来てないのよ。
玄関の鍵空開いているから、
そのまま開けて入ってきてくれる?」
「はい、わかりました。それじゃ、お邪魔します」
私は玄関のドアを開けて中に入って、
優華のママにもう一度挨拶するために
私はリビングへ向かった。
「おはようございます、おば様。」
うん、やっぱり挨拶は
顔を見て挨拶した方が気持ち良いよね。
「おはよう璃霧ちゃん」
優華のママは今日もきれいだなぁ。
背も高くて、髪も綺麗で、
顔も優華と似ていて凄く美人で、
出来る女の人って感じだなぁ。
「優華はまだ、部屋ですか?」
「そうなのよ、さっき部屋に行ってきたけど
まだ制服すら着てなっかたわ」
「大丈夫ですよおば様。
大体予想はしてたんで今日は早めに来ました」
「璃霧ちゃん、ほんと助かるわ。
私が部屋から連れ出そうとすると
いつもうまくいかないのよね」
「優華のことは任せてください」
「うん、お願いね」
「はい」
私は優華のおば様に返事をしたあと、
親友の部屋へ足を運んだ。