歴史 ---史実---
今回から4回に渡ってチェリカ・イリア編は休みです。
時は遥か昔に遡る。
かつて破壊の【力】を得た若者の軌跡を辿る物語。
序 史実――それは歴史上の出来事。
時は遥か彼方昔に遡る。
世界には【力】を持つ者と持たざる者の数は同数だった。【力】を持つ者はその【力】を共存の為に使い、持たざる者はその恩恵を受け、争いも、諍いもなく、平穏無事な日々が続いていた。しかしいつの日からなのだろうか――前者はその【力】を後者達をを支配するために使い始めたのだ。
持たざる者達にとって牙を剥いた【力】は逆らい難いもので、【力】を持つ皇帝の圧制の中懸命に生きていた。
そんな中、後者の中に破壊の【力】を目覚めさせた若者がいた。若者はその凶悪な破壊の【力】を用い、蜂起した後者達を率いて時の皇帝を倒すことに成功した。
【力】を持つ者と持たざる者の立場は逆転し、若者は英雄となった。
しかし若者が英雄であった日々は長くは続かなかった。
若者に突然目覚めた凶悪な【力】は徐々にに大きくなり、若者は制御出来なくなってしまったのだ。
始めはその【力】を崇め、敬っていた人々は、だんだんとその破壊の【力】に恐れを抱き始めた。いつかは自分達もその【力】の餌食になるのではと、恐怖したのだ。
結局若者は英雄となって間もなく殺されてしまった。共に蜂起し戦った者達に、信じていた仲間達に殺されてしまったのだ。
しかし若者は彼らを恨んでなどはいなかった。そして最期に言葉を残した。
“【力】を持つ者はいずれ世界を滅ぼす。神から奪った【力】は使ってはいけなかったんだ……”と――。
今回はこの世界に伝わる史実を書いてみました。
破壊の【力】を手にした若者シオン・グラントの軌跡を辿る物語。
次回から本編。
真実・1――【力】を得た代償。それは本人しか分からない。