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イヴのこと
「あなたは不老不死を手に入れたいと思うかい?生物とは欲深なもので、得てして自分に無いものを望みがちだ。イヴも人間だったときは不老不死のヴァンパイアに憧れたかもしれないが、それを手に入れた今は、自分に無いものを持つ、死せる存在のあなたが羨ましいのだろう」
そうかしら?彼女が死を望んでいるとは思えない。
「イヴさんはあなたのことを本当に愛していますよ。あなたといるときは本当に幸せそうです。私には彼女が死を羨んでいるようには見えません」
しばらく二人はそれぞれの物思いに沈み、黙って空を見上げた。
本当に羨ましいくらい二人は愛し合っている。
どうして私たちはいがみ合ってしまうのだろう?
近づいたと思ったら、次の瞬間にはそれ以上に、心が離れてしまったように感じる。
愛すれば愛するほど、彼を傷つけてしまうのが苦しい。
彼は前に、“君がいなくなった後、君の記憶を抱えて生きてはいけない”と言った。
それはつまり、私が死ぬときは彼も死ぬつもりだということ。
私は彼にとって、とても残酷なことをしようとしているのかもしれない。




