89/137
恋は自由だから
「ねぇ、キティー。私の前では無理して私って言わなくていいからね」
タオルが落ちないようにぎゅっと端を掴んで言う。
「ですが、それでは…」
「言うとおりにした方がいいわよ。永遠って、か弱そうに見えて頑固だから」
ジュリーは空になったグラスを風呂の淵に置いた。
キティーはおずおずと頷いた。
「ありがとうございます」
「あのね、もうひとつだけ聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「はい、何なりと」
永遠はタオルの端を弄び、ちらりとキティーを見た。
「キティーはブリスが好きなのよね?」
キティーは耳まで赤くなった。
「…はい」
蚊の鳴くような声で答えた。
永遠はかわいそうに思い、早口で告げる。
「別に非難してるんじゃないのよ。私、応援してるんだから」
キティーのすがるような潤んだ瞳が必死さを顕わにしている。
「男が男を好きになるなんて、気持ち悪いとお思いにはなられないのですか?」
「いいえ。人はみんな違うものよ。違って当たり前。だからこそ相手を理解したいと思うし、歩み寄ろうとする…ヘクチュン!」
ジュリーがゲラゲラと笑った。
「言い忘れたわね。永遠ってちょっと残念なところもあったのよね」




