キティーの秘密
下を向いたキティーがいそいそとグラスを持ってきた。
「ありがとう」
元来お金持ちのジュリーは仕えられることに慣れているから、くつろいでグラスを傾けた。
「あの…お嬢様、のぼせないうちにお上がりになるようにとクリスチャン様が」
視線を逸らせたままキティーがバスタオルを広げた。
タオルに手を伸ばした永遠を横目で見て、ジュリーがグラスを口につけたまま言った。
「同性のわたしに見られるのは恥ずかしがるのに、キティーは大丈夫なの?」
「どういうこと?」
永遠はキティーを見た。
キティーは全く永遠と目を合わせようとしない。
「気付いてなかったの?その子、男よ」
「そんな…嘘よね?」
キティーは唇を噛んで手をこぶしに握っている。
どうして否定しないの?
「だってこんなに可愛らしい顔してるの…に」
「そうよ。多分、顔のせいでしょうね。イヴが女の格好をさせてるのよ」
キティーの身体は小刻みに震えている。
永遠は自分が裸なのも忘れて湯から上がるとキティーの手を握った。
「あぁ、キティーかわいそうに」
ありきたりな言葉しかかけられない自分が歯がゆい。
「ぼっ、私はずっと、お嬢様に嘘をついていました」
思い返せばキティーは何度か言い直していた。“僕”を“私”と。
「気にしないで。あなたのせいじゃないんだから」
キティーが頬を染めて永遠にタオルをかけた。
「…湯冷めしてしまいます」
永遠も頬を染めた。




