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野生のプライド
それどころか目をとろんとさせ眠そうだ。
「永遠、寝るんじゃねぇ」
永遠を抱き起こし身体をこする。
「すぐに暖かくしてやるから」
「寒くない…」
「バカ!それが駄目なんだよ!」
早く暖めねぇと。
永遠は俺より長く水に浸かっていたし、体力もない。
屋敷に戻ることが出来れば…。
ブリスは永遠を抱き上げた。
「これはどうしたことだ!」
目の前にウサギの襟首をつかんだクリスチャンが現れた。
「遅えよ。永遠が川に落ちたんだ。早く屋敷に連れてって暖めてやれ」
永遠をクリスチャンに託す。
クリスチャンは瞬時にいなくなった。
空っぽになった腕がうずく。
見下ろせば濡れそぼる足に前足をかけたウサギがいた。
「濡れちまうぜ」
それでも脛に足をかけ駆け上がろうとする。
「抱けってか?お前には野生のプライドってもんがないのか?」
自力で上がることが不可能だと悟ったウサギはブリスの靴をかじり始めた。
「うわっ、やめろ。わかったよ、抱きゃーいいんだろ。せめておまえがメスならな、野郎を抱いたって楽しくもなんともねぇ」
ウサギはブリスの腕に収まり、満足げに鼻を動かした。
「ったく…暖けぇ奴」




