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Bliss is a God.
「ゲホッ、ゲホ…」
ブリスがやっとのことで永遠を連れて川岸に上がったとき、永遠の顔は真っ白だった。
「永遠っ…」
耳を永遠の口元に寄せた。
自分のままならない呼吸の音がうるさくて、大事な音が聞き取れない。大事な女よりも自分の身体に酸素を送り込むことを優先する本能が腹立たしくてならない。
ブリスは自分の鼻と口を片手で押さえ、耳を澄ませた。
息をしてない…!
冷たい激流に揉まれた身体に鞭打って人工呼吸を行う。
頼む。頼むから死ぬな。
俺にはお前が必要なんだ!
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホ…」
その音は今まで聞いた中で一番美しい音だった。
「あぁ、よかった!神よ、感謝します」
永遠が目を開けてブリスを見た。
「神様…。ここは天国なの?」
「何言ってんだよ。こんなのが天国なら、地獄はどんだけ酷いんだよ」
永遠の服はところどころ裂け、色を失った肌にはいくつか青い痣が出来ている。
「くそっ」
紫色の唇がかすかな笑みを形作る。
「神様が汚い言葉を使ってもいいの?」
「頭も打ったのか?俺はただのウェアウルフだ」
「美しいただのウェアウルフね」
ブリスの身体を震えが襲った。
冷えたからだが熱を作り出そうとしている証拠だ。
永遠は震えていない。




