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激流にのまれる
冷たい。
手足が痺れてうなりをあげる水の中から浮き上がることは不可能だった。
“死ねば楽になれる”
この身体が水面を打つ前、誰かが耳元で囁いた。
身体が水流に揉まれ、岩に叩きつけられても痛みは感じない。
目の前に点がちらついた。
“死ねば楽になれる”私にとっても、彼にとっても。
息を切らせたブリスが川岸に来たとき、花の生けられたカップはあったが永遠の姿はなかった。
ウサギを放すと、冷たい川へとブリスは迷わず飛び込んだ。
「永遠!」
水は凍るような冷たさだ。
早く見つけねぇと。どこにいんだよ、永遠。
水面を見回しても白い飛沫しか見えない。
「永遠!」
ブリスよりも七、八メートル流されたところに青いリボンの端が一瞬だが見えた。
見つけた!




