ゆく川の流れは
目的地へ来る途中に見た川へ向かう。
彼はついてこなかった。
川岸に立つと水が轟々と流れる様子になんとなく心が落ち着いた。
彼に愛を告げれば、彼は愛の価値を学んでくれると思っていた。
だがそれは間違いだったようだ。
“愛している”という言葉は彼の心を溶かすどころか、さらに頑なにさせてしまった。
永遠は笑みを浮かべた。それがクリスチャンがよく浮かべる表情とそっくりなことを永遠は知らない。
もとはといえば私がいけなかったのかもしれない。多くを望みすぎたから。
彼とは三ヶ月限りの契約だったのに永遠を望んでしまった。
人恋しくて一緒にいてほしかっただけなのに彼の心を望んでしまった。
もう彼を困らせるのはやめにしよう。
川べりにしゃがみこみカップに水を汲んだ。そっとブリスから貰った花を生ける。
ブリスはこの花を摘むのにどれほど苦労したことだろう?
彼の服が汚れていたのも頷ける。ピクニックの道すがら、花と名のつくものは一本たりとも目に付かなかったのだから。
カップの水に波紋が広がった。
あぁ、私は愚かだ…。
熱い雫が次から次へと転がり落ちる。
だめだ、止められない。
カップをわきに置き、手で顔を覆う。
こんな顔では二人の元に戻れない。だけど遅くなれば心配して探しに来てしまうだろう。
心を落ち着けようと、立ち上がり深呼吸を繰り返す。
それでも心が頭を裏切り嗚咽が漏れた。
そんな時、小さく震える背中に何かがぶつかって永遠はバランスを崩した。




