すれ違い
どうして…?彼は私がいなくなってもかまわないから?
私はずっと一緒にいたいのに。
「私はあなたを愛してる。ヴァンパイアになってもかまわない」
クリスチャンが体を強張らせ、永遠を離した。
「死なずに済むなら、か?」
永遠は目を見開いた。
「違うわ。ずっとあなたと一緒にいたいからよ!」
クリスチャンは鼻を鳴らした。
「どうだか。以前わたしを愛していると言った女はわたしに刃を向けたぞ。君が死を逃れるためにわたしを利用しないとどうしてわかる?」
ひどい、どうしてそんなことが言えるの?
永遠は強張った声で言った。
「ほかの女性と一緒にしないで」
「永遠?」
ブリスが片腕にウサギを抱き眉をひそめていた。
「何でもないわ。あなたどこへ行ってたの?」
ブリスが後ろに隠していた右手を差し出した。
「これ。さっきのお詫びに」
小さな花だった。たった一本の小さな花。
ブリスの髪は乱れ、服には砂埃がついていた。
その心遣いに涙が滲んだ。
「ありがとう。…水につけないとね」
永遠は急いでバスケットからカップを取り出し二人に背を向けた。
「待て、一人で我々の目の届かないところへ行くな」
永遠は足を止めなかった。
ついてきたければ来るだろうし、ヴァンパイアなのだからやろうと思えば私を止めることも出来る。
好きにすればいいじゃない。
彼は愛を知らない、愚かで、頭の固い“ヴァンパイア”なのだから。




