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蝕まれる身体
「…えぇ」
クリスチャンが腕の分だけ距離をあけて顔を見つめた。
「永遠?」
「本当よ。痛みはないわ」
永遠は視線を絡ませた。
「お願い。もう一度ぎゅってして」
クリスチャンは望みどおりにしてくれた。
ウサギは睡眠を邪魔されて煩わしそうに腕から跳び下りた。
本当に痛みはなかった。だが、だからといって楽観は出来ない。日々自分の体が病魔に蝕まれているのを感じる。両親の最期を知っているだけに死ぬのは怖くないが、それまでが怖かった。
愛する男に自分の醜い姿を見られるのは恐ろしい。彼がどう感じるかと思うと恐ろしくてたまらない。
もし彼が私を変えてくれれば…。
彼の胸に顔をうずめて言う。
「ヴァンパイアは人間の病には罹らないのよね?」
「ああ」
「じゃあ病に罹った人間がヴァンパイアになったら…」
「治る。だが君をヴァンパイアに変えることはしない」
クリスチャンが後を引き取り、口にしない問いに答えた。




