零れる幼さ
「クリスチャン、こっちー?」
「ああ、そうだ」
男二人並んで、あちこちつっつき回しながら前を歩く永遠を眺める。
珍しく髪に結ばれた青いリボンが歩みにあわせて揺れている。
「永遠、すっごく楽しそうだな」
「あんなにはしゃぐと後で疲れてしまうだろうに」
「おぶってやればいーよ」
ずっと先を行った永遠が、道の脇にしゃがみこんでせっせとどんぐりを拾っている。森の中には永遠だけでなく、木の実を集めているほかの生物がたくさんいた。
「あんなの拾ってどーすんだろ?普段は大人びて見えんのに、ときどきすげぇ子供みたいだよな」
「彼女は親を早くに亡くしているから、きっと子供時代が抜け落ちてしまったのだろうな」
本来ならば親に甘える時期を、早く大人になろうとすることに費やしてきた彼女の心の奥には、子供らしさが封じ込められていて、何かの拍子にひょっこりと顔を出すのだ。
だがそんな一面を見せてくれるほどに信頼してくれていると思うと嬉しいものだ。
「まだ真っ直ぐー?」
「そうだ」
「てか左右に道ねぇのにどこ曲がるつもりなんだ?」
ポケットをどんぐりでいっぱいにした永遠が、また面白そうなものを探して駆け回る。
「あまり走ると転ぶぞ!」
「はーい、パパ」
笑い声が風に運ばれてきた。
「パパだってさ」
大きな口でニヤニヤしているブリスを睨みつける。
そのまま口が裂けてしまえばいいのだ。
「そうそう、冗談も言うようになったよな」
「お前の方が父親のようだぞ、第一お前は永遠と知り合って間もないだろう」
「何か守ってやんねぇとって思わせるんだよな。てか、あんただってそんな変わんねぇだ…何やってんだ?」
永遠が暗い茂みに向かって手を伸ばしていた。




