偽りを告げる
「クリスチャン、おはよう。早く起きたのね、私も起こしてくれればよかったのに」
クリスチャンは金の瞳でじっと永遠を見つめた。
「よく眠っていたから」
「ああ、そうね。確かによく眠ったわ。だって昨日はパーティーだったんだもの」
クリスチャンは何も言わずにただ永遠を見つめている。
「…えっと、それ何?」
クリスチャンの手に握られたマグカップを指そうとして手が塞がっているのを思い出し、視線で示した。
「ココアだ。今日は冷えるから」
「私、ココア大好き。寒い日はよく母がココアを入れてくれたわ、そうじゃないと私がベッドから出ないものだから」
「お優しい方だったのだな。君のお母上は」
「えぇ」
静かな時間が流れた。たとえ数秒だったとしても、永遠にはとても長く感じられた。
「永遠、ごまかしても無駄だ。何を隠した?」
「何も隠してなんかないわ」
永遠は下唇を噛んだ。
彼に嘘はつきたくない。でもこんなものを見せたら…。
「わたしがヴァンパイアだということを忘れたのか?力ずくで奪うことも出来るのだぞ。君が嫌がることはしたくない。だが君を守るために必要ならば躊躇しない。それはわたしが忌むべきものなのだろう?」
永遠は唇を湿らせた。
「どうしてそう思うの?」
「君は嘘が下手だ。それに…顔が青い」
下を向き、髪で顔を隠す。
「ココアが冷めるぞ」
顔を上げれば、一歩も引かない構えのクリスチャンがマグカップを差し出していた。
ため息を吐き、件のカードと引き換えにココアを受け取った。




