前戯
ヴァンパイアの笑みを浮かべる。
「その紅い色を見れば口に君の味を思い出す。見ただけで君が欲しくなる」
永遠が頬を赤らめた。
「つけてやろう」
ペンダントを受け取り、大きな手で器用に留め金をとめた。
永遠にこちらを向かせ出来栄えを眺める。
「うまそうだ」
「ブリスが言いそうなセリフね」
永遠がくすりと笑う。
彼女は腕を伸ばし、クリスチャンの頭を引き寄せようとした。
クリスチャンはされるがままでいたが、彼女の顔と三十センチの距離までくるとピタリととめた。
永遠の髪に手を差し込んでピンを引き抜き始めた。
「何をしてるの?」
「下ろしている方が好きだ。君の柔らかい髪に手を差し入れられるから」
永遠もクリスチャンの後頭部をまさぐった。
「何をしている?」
「私もあなたの髪を解こうと思って」
クリスチャンがピンをすべて床に落としきったとき、ようやく永遠も革紐を解いた。
「きつく縛りすぎよ」
「ふむ?」
クリスチャンはすでに永遠の髪に指を通し、耳の下に唇を這わせていた。
「クリスチャン?」
クリスチャンは牙を立てていなかった。唇で暖かい脈動を感じているだけだった。
「君に、こうしなければならないと感じて欲しくない。その…贈り物の見返りに」
永遠はクリスチャンの髪に指をもぐらせた。
「私はそうしたいからするの。あなたに私をあげたいから」
クリスチャンはその言葉に甘えた。




