月を贈る
彼女の手を離して問う。
「君にあげたいものがあると言ったのを覚えているか?」
「何かしら?」
永遠の瞳が輝く。
クリスチャンは微笑を浮かべ、タキシードの内ポケットに手を入れた。
一呼吸置いてからそっと手を抜き取り、淡いリボンのかかった白く細長い箱を永遠に捧げた。
贈り物を受け取った永遠はじっと箱を抱えていた。
「開けないのか?」
「開けるわ」
彼女はゆっくりとリボンの端を引っ張った。時間をかけて包装紙を剥き、紙をテーブルに置く。
「白い箱に、白い包装紙?」
永遠が笑い混じりに言った。
「おかしいか?」
「あなたらしいわ」
「それは褒めているのか?」
「多分」
クリスチャンは髪に手をやった。
プレゼントを早く開けたくてうずうずしている子どものような気分だった。
永遠がどんな反応をみせるか早く知りたい反面、その楽しみがすぐに失われてしまうことを残念にも感じていた。
「まぁ…」
ついに永遠が箱を開けた。
それは、立体的な丸みを帯びた銀色の三日月に、丸く精巧にカットされたルビーが載ったデザインのペンダントだった。
「ありがとう。でもどうして月が好きだってわかったの?」
「君はかぐや姫みたいだったからな。月を見てはため息を吐いていた」
永遠は手の中の月を指先で撫でた。
「それは月が美しいからよ。天から迎えが来るわけじゃ…」
永遠は口をつぐんだ。
クリスチャンは咳払いをしてから言った。
「月は君のため、ルビーはわたしのために選んだ」
彼女は首を傾げた。




