愛が彼を弱らせる
ブリスをベッドにどさりと下ろす。
永遠は甲斐甲斐しくブリスに毛布をかけてやった。
「今、何時?」
部屋の照明は月明かりだけで、彼女には時計の文字盤が見えないのだろう。
「十二時過ぎだな」
永遠が小さなあくびをするのをクリスチャンは見逃さなかった。
「もう眠いのだろう?招待客達のことは放っておいて休もうか」
「いいの?お父様達に挨拶もしないでいなくなっても」
クリスチャンはタイをはずした。
「二人は互いのことに夢中で、我々のことなど忘れている」
永遠の顔に笑みが浮かんだ。
きっと彼女も同じ結論に至ったのだろう。
「こっちへおいで」
クリスチャンは窓際のひときわ明るい場所へと永遠を誘った。
彼女の髪が月明かりに淡く染まる。
「美しい」
永遠の口元がほころんだ。
「本当にそんな気がしてきたわ」
手袋のはずされた永遠の指が頬に触れる。
「ねぇ、ヴァンパイアを殺す方法があるって本当?」
…ジュリーの仕業だな。
「わたしを殺したいのか?…君ならわたしを殺せるだろう」
クリスチャンは永遠の指を握り、頬に押し付けた。
「ヴァンパイアに愛された者は、そのヴァンパイアを殺すことが出来る。恐らく、愛がヴァンパイアを弱らせるのだろう。剣で刺すにしろ、毒を盛るにしろ、生物が死に至るいかなる方法でも殺せるぞ」
永遠の瞳が長い睫毛で隠れた。
「わたしは過去にジョセフィーヌも愛していた。そんなものは何の役に立ちもしない。永遠の愛など存在しはしないのだ」
彼女は神妙な顔つきで頷いた。




