クリスチャン、亡霊を見る
クリスチャンがブリスの襟首を掴んでいた。
「わたしに喧嘩を売っているのか?」
ブリスを軽々と持ち上げた。
「クリスチャン、乱暴なことはしないで。ブリスは酔っているみたいなの」
「そのようだな」
クリスチャンはぐっすりと眠り込んだブリスを肩に担ぎ上げた。
「ジュリー、しばらくだな。永遠とはもう意気投合したのか」
「ええ、楽しませてもらってるわ」
黙って二人を交互に見ている永遠を横目で見たジュリーは顔をほころばせた。
「永遠、わたしたちはただの親戚よ。クリスチャンとルークが従兄弟なの、知らなかった?まあ、クリスチャンは言葉足らずだから、仕方がないかもしれないわね」
クリスチャンはジュリーをねめつけた。
「君は相変わらずお喋りだな。永遠に余計なことを吹き込んではいないだろうな?」
「言いがかりはやめてよね。わたしたち女は結束しなくちゃ…」
「グー」
ブリスが寝息を立てた。
「クリスチャン、ブリスをベッドに寝かせてあげましょう」
永遠はクリスチャンの袖を引っ張った。
「ああ、そうだな。ではジュリー、また」
階段を上りきるまで後数歩という所で、階上をドレス姿の人影がさっと横切った。
クリスチャンはドキリとして足を止めた。
まさか、こんなところまでわたしに付いて来たのか…?
だが今宵はパーティーだ。ドレスを着た女性はいくらでもいる。
例えそれが数世紀も前の型のドレスだったとしても、彼女が好んで着ていたドレスと瓜二つだったとしても。
階上に上がってみると人影は跡形もなく消えていた。
永遠はクリスチャンの様子には気付かずに、部屋へ先に駆け扉を開けた。
彼女はクリスチャンが通るまで扉を支えていた。
「ありがとう。だが君がそんなことをする必要はないのだぞ」
クリスチャンは永遠を横目で見ながら通り過ぎた。




