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捕らえる
着飾った身体が冷たい床に横たわることはなかった。
身体が傾いではいても倒れこんだそこは暖かく、逞しい腕がしっかりと永遠をその場に繋ぎとめていた。
クリスチャンがゆっくりと永遠の倒れ掛かった身体を真っ直ぐに起こさせ、顔を覗き込んできた。
「大丈夫か?」
永遠はクリスチャンの頬にそっと手を当てた。
「永遠?」
あぁ、この顔が見たかった。もう見られないかと思った。
彼の困惑した顔を貪るように見つめながら言う。
「あなたと、もう一緒にいられなくなるかと思ったの」
永遠の目に涙が浮かんだ。
「ああ、永遠…。わたしが君を守るから」
クリスチャンは出来もしない約束を口走り、永遠が苦しくないほどに、だがぎゅっと抱きしめた。
多くの目にこちらの一挙一動を監視されているのはわかっていた。
だが、それでも構わなかった。彼女の身体が階段から投げ出された映像が頭に焼きついて、クリスチャンの背筋が凍った。
今は、永遠を腕の中に、自分の保護下にあるという事実を噛み締めていたい。そして何よりも彼女に安心を与えてやりたかった。
しばらくそのままでいてからもう一度尋ねた。
「もう大丈夫か?」
永遠は気丈にも微笑を浮かべ頷いた。
クリスチャンは永遠の手を自分の腕にかけさせると、共に階段を下り始めた。




