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崩れる階段
永遠は階段をゆっくりと下りながら見知った顔を捜していた。大勢の中でも大切な人は簡単に見つけられた。その横には目も眩むばかりの美しい男がいた。
ブリスの横に並ぶ女性が気の毒だわ。
微笑を浮かべ二人を視界に収めながらも、永遠が見つめているのはたった一人の男で、その男も決して永遠から視線を外さなかった。
熱い視線を絡めたまま、クリスチャンの元へと着実に階段を下りている途中で、胸を押さえたクリスチャンの顔が歪んだ。
ああ、どうしよう。彼が苦しんでいる。
病気?それとも怪我?
慌ててクリスチャンに駆け寄ろうとして足がもつれた。
落ちる…。
頭のどこかにその言葉が浮かんだ。
致命傷を負うときや、死ぬときには時の流れがゆっくりに感じられるという。その通りだと思った。
身体が傾くのを感じながら、最後にもう一度クリスチャンを見たいと思って視線を投げた。だが彼はいなかった。
永遠は瞳を閉じ、この世界に別れを告げた。




