ロンドの始まり
パーティーが始まってしまった。階下からは招待客たちの話し声が響いてくる。
どうしよう、何を着ればいいの?
持ってきたトランクを引っ掻き回してみたものの、相応しいものは見つからなかった。
どうしてパーティーなのにドレスを持ってこなかったの?
なぜならドレスなんて持ってないからよ、おばかさんね。
眉を寄せ複雑な表情を浮かべる。
ワンピースじゃ駄目かしら?
そのうちの一着を手に、そっと部屋を抜け出て階下を覗くと、色とりどりのドレスが目に入った。
駄目よ。これじゃカジュアルすぎるわ。
いっそ昨日の、灰色のずた袋に身を包もうか。一応ドレスだしワンピースよりは浮かずに済むかも。
「すまない、遅くなってしまった」
クリスチャンが部屋に滑り込んできた。クリスチャンはタキシードに身を包み、髪はひとつに縛られている。その戒めから抜け出した一房が額に垂れかかり、ロマンティックな雰囲気を醸し出していた。
クリスチャンがこんな盛装をしているなら、ますます浮いてしまうわ。
永遠はため息を吐いた。
「これを身に着けて欲しい。わたしが選んだものだから君が気に入るかどうかはわからないが」
ピンクのリボンがかかった白い箱を受け取り、鏡台に載せた。
リボンを解くと、中には袖の無いシャンパンゴールドのドレスと揃いの手袋、パールの装飾品一式が入っていた。
「クリスチャン…嬉しいわ。だけどこんな高価なもの受け取れない」
「そんなことを言わないで、着飾った君が見たいのだ。わたしの為に身に着けてくれ。それに後であげたい物がまだあるのだ」
「…ありがとう、クリスチャン」
彼の首に腕をまわし引き寄せると、頬に唇を押し当てた。
クリスチャンは驚いたようだが、その後で優しい笑みを浮かべた。
「侍女は呼んである。私は下で待っているから」
クリスチャンと入れ替わりにキティーが入って来た。
「素敵な婚約者様ですね」
永遠は笑みを浮かべた。
「ええ、私にはもったいない人だわ」




